「たかがエサ、されどエサ」。海釣りにおいて、その用途や特徴を知ることは必ず釣果アップにつながる。海釣りのベテランも意外に知らない「釣りエサ」の世界。
(金沢 賢治)
【 虫エサ 】
グロテスクさと裏腹に大抵の釣り物に対応できる汎用性を持つのが特徴。
①イソメ
道内ではほとんどの釣具店で販売されている海釣りのエサの王様。柔軟性に富み、食い込みが良く、体液による集魚にも期待できる。温度上昇や乾燥に弱いので保管方法に注意がいる。対象魚はカレイ類、コマイ、アブラコなど。
②エラコ
イソメより高価で使う人は少ないが、臭いや見た目のアピール力はイソメ以上というベテランは多い。ネックは生エラコを扱う釣具店が少ないこと。塩締めで売られることがほとんどだ。 対象魚はカレイ類、コマイ、アブラコなど。
【 エビ系エサ 】
全般に脂乗りや臭いなど、食い気を促す力は乏しいが、魚の食性とマッチした時の爆発力はピカイチ。
①芝エビ
体長10〜15cmでややスリムな体型。道外ではマダイのエサとして有名だが、道内では投げ釣りで1匹丸ごと使って大物を狙う際に使用されることが多い。対象魚はマツカワやサケなど。
②バナメイエビ
比較的安価で釣果も良く、コストパフォーマンスが高い。芝エビよりも1回り大きいので半分または3分の1にカットして使うこともある。食紅で染めて使うことも多い。対象魚はマツカワ、サケ、カラフトマス、ホッケ、コマイなど。
【 身エサ 】
エサ持ちは悪いが、フィッシュイーターに効果的で大型魚狙いの実績も高い。痛みやすいため塩などで締めるのが一般的。
①ソウダガツオ
マルソウダとヒラソウダの総称で、最もメジャーな身エサの1つ。市販の身エサの中ではやや値段が高いが、光沢のある銀色の表皮と脂乗りの良さによる集魚力に定評がある。
②フクラギ
うっすらと残るイエローバンドが魚の食い気を引き出すと言われている。ソウダガツオに比べると脂乗りが悪いが、皮が硬く、比較的エサ持ちがいいとされ、仕掛けを何度も打ち返すような場面で有効だ。 対象魚はマツカワ、サケ、カジカ、カラフトマス、アブラコなど。
【 イカ系エサ 】
体のほぼ全ての部位を余すことなく使え、多くの魚種に対応できる万能エサの1つ。
①イカゴロ
通称ゴロは北海道などの方言で内臓のこと。強烈な臭いが潮の流れに乗れば、ある程度離れている魚もおびき寄せる集魚力を誇る。低活性時にも効果絶大。食わせエサとしても寄せエサとしても使えるデュアルパーパスなエサ。対象魚はカジカ、ソイ、アブラコなど。
②イカの切り身
胴体、ゲソ(イカの足)、エンペラ(イカのミミ)、いずれも非常にエサ持ちがいいのが特徴。アピール力アップのため紅染めにすることが多いが、生のままでも使える。胴体やエンペラは短冊状に切って使うことも多い。ゲソはエサ取りが多い場面で重宝される。 対象魚はサケ、カラフトマス、根魚など。
【 貝エサ 】
ベテランやこだわり派に人気で、やや値は張るが魚の食い込みが抜群。
①ホッキ貝
漁獲量の多い胆振周辺や噴火湾でよく使用され、対象魚の食性に合っているためかこれらの地域で釣果に定評がある。高価だが硬く弾力があり、外道に対して耐性がありエサ持ちがいい。通常はむき身を4〜6等分に切り分けて使う。スーパーなどで手に入りやすい。 対象魚はアブラコ、ソイ、ガヤ、カレイなど。
②ホタテのミミ
釣具店で販売されている商品は塩締めや紅染めが多い。メインのエサとしても使えるが、ハリから外れにくい特性を生かし、他のエサと相掛けして外道に取られにくくするために使う人も少なくない。エサ落ち防止の「第2のエサ」として秀逸。対象魚はカレイ、コマイ、ホッケなど。
【イソメの付け方1】
【イソメの付け方2】
【イカゴロの付け方】
【身エサの付け方】