道内最速で第1号が上がることも多い道北・稚内のカラフトマス。近年は本格化が7月中旬以降と遅い傾向もあるが、誰よりも早く魚を手にできる可能性は依然として道内トップクラスだ。そんな稚内のカラフトマス攻略に適した方法を釣り場ごとに解説。お立ち寄りスポットも併せて紹介する。
(坂田 義人)

 

道北地方はウキフカセ釣りが主流

道北地方でカラフトマスを釣る場合は、ウキルアーやルアー単体で狙う人もいるが、圧倒的多数を占めるのがウキフカセである。特に難しいテクニックが必要なく、初心者や女性など誰でも簡単に魚を釣ることができるのが人気の理由だ。ウキフカセ用(ウキルアー兼用可)のタックルは以下の通り。

 

入釣タイミングを考える

道北地方の場合、ほとんどのカラフトマス釣り場が東に面しているため、東寄りの強風時は波が高くなり、海藻やちぎれたコンブ、ごみなどが漂着する。荒天の日は、それらがラインや仕掛けに絡んで釣りにならないことが多々あるので、天気予報や波浪情報などの事前チェックが欠かせない。過去の実績から、釣果が期待できる時間帯は、夜明けから午前10時ごろまでと、日没前の約3時間。ただし条件次第ではそれ以外の時間に群れの回遊が見られることもあるので、そのあたりは状況に応じて判断しよう。

道北地方の釣り場の大半が東に面し、東風でしけると釣りにならないので事前の天候チェックは欠かせない

 

ウキフカセのアイテムと釣り方

<ウキ>
ドングリタイプのウキと棒ウキに大別される。ドングリウキは棒ウキに比べて飛距離が出るが視認性が悪く、遠くへ投げ過ぎたり、波のある日はウキを見失うなど難点がある。半面、なぎの日は小さな波でもボディーが連動して動くので、微妙に揺れて誘いになる。一方、棒ウキは海面から上部に突き出る部分が長いので視認性に優れ、遠くへ投げても当たりを判別しやすい。難点は、海面下に沈むボディー部分が長く、浅い場所は探りづらいこと。カラフトマスは早朝や夕方に波打ち際など水深の浅い場所を回遊するので、そういったケースでは棒ウキは適さない。道北地方では、この2種類のタイプのウキを状況に応じて使い分ける傾向がある。

 

<ハリ>
ハリは主にフカセバリ16〜18号などが使用され、ピンクや赤のタコベイトをかぶせたり、赤系統の毛を取り付ける。エサはバナメイエビや紅イカ、サンマ、ソウダガツオなど。

<釣り方>
基本的にはウキを浮かべてじっくり回遊を待つか、群れが見えていればその近くへ投入し、静かにリーリングしてウキおよび仕掛けを群れの中心へ誘導する。タナは、海岸では通常30~80cm程度と浅め。ただし条件次第では深くなる可能性があるので、そんなときはいち早くヒットした人のタナに合わせるのが得策だ。フッキングは、ウキが完全に沈んでから合わせるのが正解。水面でウキがポコポコ浮き沈みを繰り返しているうちは魚がじゃれついているだけなので、ウキが完全に沈むまでスルーしよう。

ウキルアーのアイテムと釣り方

<ルアー>
最近はさまざまなフォルムのルアーが販売されており、どれを買おうか迷ってしまうほどバリエーションが豊富だが、基本型は今も昔もスプーンである。ウキルアーでは、主に中通し式のフロートとスプーンを組み合わせ、超スローでリーリングしながら「動き」でアピールしバイトを誘う。スプーンは15~30gが標準的。波があるときは影響を受けにくくするため、やや重めを使用する。カラーはシルバーベースに赤または青が基本で、黒点入りやアワビ貼りなどタイプの異なる数種類を用意したい。

<釣り方>
ウキフカセ同様、群れが目視できるときは群れから少し離れた場所に投げ、リーリングして群れの中心部に持ってくる。いきな中心部にキャストすると群れを散らし、魚の警戒心を高めるので注意しよう。ウキ下は通常1~1.5mで、魚の背びれが水面上に見えていれば50cmまで浅くしてみるのもあり。エサはサンマ、ソウダガツオ、紅イカなど。活性が高ければエサなしでも釣れることがある。外道のアカハラも多い時季なので、エサは多めに持参しよう。

稚内4大カラフトマス釣り場

【大岬漁港(宗谷港)】
地元釣り師の間では「大岬漁港」の方が通りがいいが、正式名称は宗谷港。日本最北の地・宗谷岬のすぐ右隣にある港で、 シーズンは7月中旬から9月上旬まで。大きな港だが、近年は中央岸壁左基部にある船揚場A点と宗谷岬郵便局下の小川が流入している船溜まり一帯B点が最も釣果が期待できる場所として人気だ。好調な日は1人で何匹も釣れるので、外海がしけで荒れた時は群れが港に進入しやすいので期待が高まる。ウキルアーとウキフカセのどちらでも釣れるが、好調な時はどちらか一方の釣り方にヒットが偏る傾向があるので、可能であれば両方の宅ルを準備して臨みたい。前述のポイント以外では、中央岸壁右側の船溜まりC点やてっぺんドーム前の岸壁一帯D点がお薦め。ただし、見落とされた意外な場所に群れがたまっていることもあるので、調子が悪い時は港内各所をまんべんなく見て回ろう。港の周辺には宿泊施設や食堂がある。

釣り人でにぎわう「てっぺんドーム」付近のD点
港内で最も釣果が期待できる郵便局前のB点の船だまり

 

【泊内川河口海岸】
国道238号沿いの稚内側に30台ほどの駐駐車スペースがある。しけや川の増水などで頻繁に河口の位置が変わる。右海岸へ行くにはウエーダーを着用して川を横切るか、ウエーダー非着用の場合は泊内橋の右岸側のたもとから砂浜へ下りよう。河口付近A点で群れの回遊が見られない時は、右海岸の廃船付近B点や左海岸の岩礁付近C点をチェックしたい。シーズンが本格化すると群れが波打ち際を回遊するケースがふえるので、海にはむやみに立ち込まず、波打ち際の数m先をウキフカセでじっくり探りたい。

小砂利と砂が混じる廃船付近B点。奥に見えるのが廃船
8月上旬、ウキフカセで釣れたカラフトマス

 

【目梨川河口海岸】
大きなワンドを形成した広い砂浜でポイントを絞りにくいが、強いて言えば河口付近A点と右海岸一帯B点に群れの回遊が多い。河口付近は過去の実績上、川の流れ出しに任せたウキフカセ釣りが有利。河口から離れた場所ではウキフカセ、ウキルアーのどいちらでもいい。右海岸最奥部の岩礁帯C点でもたびたび数が上がるので、1カ所で粘るというよりも数カ所を釣り歩くスタイルが奏功する場合が多い。左海岸側は2つほどある小川付近もポイント。ここも泊内川同様、波打ち際まで回遊があるので、むやみに立ち込まず、波打ち際から少し離れた位置キャストしよう。ウキルアーのリーリングは波打ち際まで気を抜かないように。近年、この釣り場は毎年のようにクマが出没しているので十分注意を。

国道沿いの駐車場から望む目梨川河口海岸。奥の出岬もポイントだがクマに注意
釣り人でにぎわう河口付近A点。河口の位置はしけや増水で頻繁に変わる

 

【東浦漁港】
オホーツク海側に面した漁港で、背後に丘陵地帯があるので西寄りの風に強い。同港で一番人気のポイントは、南外防波堤の港内側A点と基部にある砂浜B点、そして南外防波堤の対岸の岸壁C点の3カ所。南外防波堤の場合、ウキフカセのウキ下はおおよそ0.8〜1.8mで、対岸の岸壁では0.8〜1.5m。砂浜は0.5〜1m。遠投は不要で、5~25mの範囲を探ろう。南防波堤基部の船揚げ場周辺D点やその左の岸壁から漁協施設前にかけてE点も要チェック。船揚げ場周辺はウキ下を30~50cmと短くした方がよく、それ以外の岸壁では1〜1.8mに設定する。ウキルアーの場合、ウキ下は1〜1.8mで。

C点の岸壁。最盛期は新たに入る隙間がないほど混雑する
港内にある砂浜B点。岸壁よりもランディングは容易だ

 

稚内お立ち寄りスポット

ノシャップ岬
恵山泊漁港公園にあり、市民の憩いの場となっている。目の前には利尻富士や礼文島、天気のいい日はサハリンも遠望することができる。周囲がオレンジ色に染まり、壮大な自然のページェントが見られる日本海に沈む夕陽は必見。近辺にはノシャップ寒流水族館や、国内2番目の約43mの高さを誇る稚内灯台の他、食堂や土産品店も。

夕暮れ時は辺り一面がオレンジに染まる圧巻の光景

稚内副港市場
稚内港第1副港にある『稚内副港市場』。中では水産物や新鮮な野菜が販売され、観光客はもとより地元市民の常連も多い。海鮮丼専門店や食堂、カフェがあり、家族連れにも人気がある。海産物や銘菓の土産物も購入可能。明治以降の樺太を紹介する「稚内市樺太記念館」や、往時の稚内の商店街や稚内港、樺太にあった旧豊原中学校などを再現したノスタルジーコーナーを併設。
◆稚内市港1丁目6-28 ☎0162・29・0829

土産物店や食堂、カフェ、記念館などさまざまな施設がある稚内副港市場