道央圏でショアのサクラマスが下火になる頃、ショアヒラメとショアブリのシーズンが開幕する。磯場で、サーフで、納得のいく大物をゲットしよう。
(長谷川 浩二)
独特の重量感が魅力のヒラメ、強烈な引きのブリ
春のショアヒラメはメーター級のモンスターが狙えるが、刺し身にするには理想的な40~50cmクラスも多い。一方、ショアブリは対馬暖流に乗って日本海を北上し、近年は道内沿岸で当たり前のように姿が見られるようになった。まるで魚雷のようなシルエットから繰り出される泳ぎはすさまじく、瞬殺でロッドを折られることもあるほど強い引きが魅力である。
ショアブリ&ショアヒラメ用タックル
◆ロッド
サケのウキルアー用で代用できるが、ブリに関していえば5~6kgが限界。10kgを超すモンスターには到底太刀打ちできない。本格的に狙うのであれば「青物専用」「磯マグロ用」といった専用のショアジギングロッドがお薦めだ。9~11フィートのロッドは、向かい風でも抵抗が少なく振り抜きやすい。ただし足場が高かったり、前へ出られない磯場ではルアーの操作性や取り込みに難がある。12〜13フィートのロングロッドは遠投性の高さがウリだが、サオが長い分だけ風の抵抗を受けやすく、向かい風は苦手。本格的に狙うなら、長さの異なるロッドを2種類以上用意するのが理想的である。長時間ロッドを振り、場合によってはかなりの距離をランガンすることを想定すると、できる限り軽量なタックルが望ましい
◆リール
近年はシマノ、ダイワといった2大メーカーだけでなく、ターポン用などの海外製リールを使う人もいる。ただ海外製リールで気を付けたいのが、グリースの粘度だ。気温が低いとギアやベアリングなどに使われるグリースが硬化し、ハンドルが動かなくなるなどのトラブルが起きやすい。そういった海外製リールを初冬の日本海で使う場合は注意がいる。通常は、シマノであれば5000~6000番のリールでいいが、大物を想定するなら堅牢性の高いリールを選びたいところ。特に秋の戻りブリのパワーは半端ではなく、オフショア用のジギングリールを使う人もいるほど。筆者も15年以上前から、オフショア用のリールを愛用している。
◆ライン
ソルトルアーの場合、メインラインがPEで、ショックリーダーを接続するシステムが大半だ。PEラインは1.5~3号が適切で、ショックリーダーは5~15号(約20~60Lb)。砂浜でラインブレークの可能性がほぼなく、ターゲットが中型のヒラメ程度であれば、1.5~3号程度のナイロンラインでも十分対応できる。
砂浜で広く、閑散としている釣り場であれば、ある程度自由に魚を走らせ、じっくり時間をかけて取り込めるので、細めのラインシステムでも問題ないだろう。だが秋のヒラメやブリは春のそれとはパワーがケタ違い。大物が釣れる可能性のある深場などでは、太糸のラインシステムが適している。
◆ルアー
ブリやヒラメで使用するルアーは、なんといってもジグミノーの人気が高い。ジグ並みの飛距離を持ちながら、リアルな泳ぎを兼ね備えたこのタイプは、スローリーリング時の泳ぎが秀逸で、特にシャローエリアで威力を発揮する。
一方、逆風に負けず飛距離が出るジグは、ジグミノーと並び頼りになるルアーの1つだ。秋に北寄りの風が多くなる日本海では必須ルアーの1つといえる。特にスリムで後方重心のタイプは、向かい風でもよく飛び、ピンポイントで狙いやすい。
幅広のジグは風の抵抗を受けやすいが、スリムタイプに比べてアピール性が高い。道南方面ではスプーンの使用者も目立つ。最終手段としてワームも準備しておこう。念のため、フックは太軸タイプに換装。
釣り方
ブリは、イワシやサバの群れを追い回して水しぶきを上げるので比較的見つけやすい。ただし水しぶきが上がっても魚影が見えないようなときは、ルアーを底近くまで沈めてジャーク&フォールを繰り返したり、着水と同時に横に大きくロッドをあおって水面をスキッピングさせてみるのも手。
ソルトルアーフィッシングは、秋は外道のフグに悩まされることが多いが、日が落ちると活性が下がるので、日没から翌日早朝までの夜間は、スローな釣りを展開してじっくりヒラメの反応をうかがうことができる。
ブリ&ヒラメ好釣り場紹介
弁慶岬〜砂政泊(寿都町)
基本的には岩場だが、場所によって30〜80m沖が砂地になっている。秋は40〜60cmクラスのヒラメが多い。ブリは5月ごろから11月または12月まで釣れ、秋は南下中の戻りブリがターゲット。時に10kg級の大物も出る。
弁慶茶屋跡のA点の立岩や軍艦岩は、手前30〜40mは荒根だが、その先の砂地にヒラメが潜む。狙い目は夕方と早朝で、日中はヒラメに代わってブリが狙える。B点の砂政泊大平盤にかけてのエリアも同様だ。C点の政泊平盤も70〜80m先に砂地がある。D点の灯台下は、A点やB点がしけでサオが出せないときの逃げ場として重宝する。根が荒く油断するとすぐに根掛かりするが、昨秋はワームで60cm級の大型ヒラメが上がり、ブリも釣れた。
豊平海岸〜江ノ島海岸(島牧村)
90年代に全国的な海アメブームを巻き起こすきっかけになった釣り場がここ。ヒラメは毎年のようにメーター級が上がっている。泊川から幌内川までが豊平地区、幌内川から千走川までが江ノ島地区で、ヒラメは千走川から千走漁港千走地区までの間で魚影が濃い。海岸は小砂利や目の粗い砂地で、根が点在していて根掛かりに注意がいる。半面、十分な水深があり、良型が足元でヒットすることも珍しくない。
A点の北国澗は岩場が中心で、東側は浅い岩盤になっており、早朝にヒラメが着いていることもあるが数は少ない。通称赤灯のサーフは足元から十分な水深があり、沖から直接潮が入り込む有望ポイント。魚影が濃く、時折モンスター級がサオを曲げる。B点の通称18番は沖に人工リーフが埋設され、その周囲に魚が着きやすい。特にしけ後が狙い目だ。夕方や早朝が狙い目のC点の整備工場裏は、沈み根が点在する岩場で水深が浅く、根掛かりに注意したい。
鮪ノ岬(乙部町)
近年、超大型のブリやヒラメが狙える釣り場として道内屈指の人気釣り場になった。岬は全体が岩場で水深があり、場所によっては足元から7〜8mのどん深になっている。岬へ出るルートは2つ。1つは、岬左基部の国道脇の駐車場から海岸沿いにアプローチする方法。もう1つは「鮪の岬公園」から長い下り坂を歩いて岬へ出るルートだ。大半の人の入釣ルートは後者。
A点の南岸は荒根で根掛かりが激しいが、ブリもヒラメも狙え、夜はソイも出る。B点の岬先端部は水深が深く、日中でもヒラメが釣れる。秋は丸々と太った10kg超えのブリがたびたび上がるので、2人以上で入釣すればランディングが楽だ。C点の北岸は基部に行くほど切り立った断崖となるどん深のポイントで、ヒラメは過去にモンスター級が上がっている。夜釣りは足元に十分注意を。
もんじゅ下〜上ノ国漁港上ノ国地区(上ノ国町)
道の駅上ノ国もんじゅの真裏にあるA点のもんじゅ下は、50mほど先が水深10mほどある深場で、日中でもヒラメが釣れ、ブリも回遊する。水深が深く海底は光が届きにくいのか、ルアーは夜光カラーの実績が高い。
上ノ国漁港上ノ国地区のB点の北防波堤は、消波ブロック越しのキャストで釣りづらいが、好調な年は2ケタ釣りが続出した過去も。もちろんヒラメも釣れる。C点の東防波堤は、毎年秋にイワシや小サバが岸寄りするので、フクラギや良型ヒラメが釣れる。
大崎〜大安在(上ノ国町)
3kg以上ある長大な砂浜は初見ではポイントが絞りづらいが、移動しながらじっくり探るとヒラメの数釣りができる。海岸は全般に石灰岩系の砂利や砂が岩盤の上に堆積し、根掛かりの危険性が低い砂浜の割に足元から急深な場所が多く、外海にダイレクトに面しているので早朝などは足元で大型のヒラメがヒットすることも。ブリは40〜60cm級が中心。晩秋〜初冬には10kgクラスの大型ブリが釣れた実績もある。
A点の大安在エリアは岩場が多く根掛かりしやすいが、根の周囲にヒラメが着く。北側は足元から深い砂利浜で、ブリも回遊するので油断は禁物だ。B点の寅の沢エリアも足元から水深がある有望ポイント。寅の沢川河口の南側にある、海藻が生えている岩盤の周囲は、過去に60〜70cm級の大型が釣れた人気スポットだ。C点の大崎エリアは岩場が多く根掛かりに注意がいるが魚影は濃い。北寄りの風が吹くときは、他のエリアが駄目でもサオが出せる可能性が高い。