アウトドアブームが再燃している昨今、ボートロックゲームがじわじわ人気を獲得しています。文字通り船から魚を狙うこの釣りは、容易にメモリアルフィッシュに出会え、特にシャローエリアのボートロックは船釣り入門に最適です。
(高野 清秀)
ボートロックはメモリアルフィッシュに出会える
さまざまなジャンルがある釣りの中でも、ボートロックは敷居が高いと感じている人が多いのではないでしょうか。
実は、ボートロックは誰でも気軽に挑戦できます。比較的容易にメモリアルな大物に出会えるのも特長です。
これから秋のハイシーズンを迎えるに当たり、シャロー(浅場)のボートロックが佳境に入ります。
そこで今回は、入門に最適なシャローエリアのボートロックゲームを解説していきたいと思います。
筆者プロフィール
苫小牧市勇払マリーナの遊漁船タマリスクの船長を務めています。楽しく、いい釣りをご案内できるよう日々心がけて釣行しています。
ボートロックはコスパの高い気軽な釣り
コンスタントに大物を上げるには、ポイントや時季を熟知した上で、潮汐や時間帯なども考慮しなくてはなりません。ボートロックゲームは限られた乗船時間の中、ベストポイントに案内するので、初心者でも大物に出会える可能性が高まります。
基本的にシンカーとフック、ワームがあれば成立するので、コスパにも優れています。タックルに関しては、初めはレンタルを利用し、徐々に自身のスタイルに合わせてそろえていくと無駄がありません。
見知らぬ乗船者同士でも、ベテランがレクチャーしてくれたり、率先してタモを入れるなど、自然にワンチーム感が生まれるのはボートロックならではです。トイレがあり、キャビンで休憩もできます。
秋のシャローロックゲームは魚の活性が高いのが特徴です。ゆえにヒット率が高く、ベイトが豊富なので魚のコンディションも上々です。おおよそ水深7㍍以浅を比較的軽いリグで狙うので、女性や子供も気軽に楽しめます。
タックルはリーズナブルな製品でOK
<ライン> 初心者はナイロンから始めよう
初心者はナイロン3〜4号がお薦めで、ラインは100m以上巻いてあれば十分です。ただし根ずれに弱いのでまめに点検し、傷があればその部分を切ってリグを結び直して下さい。
フロロカーボンは比重が重くてよく沈み、根ずれに強く愛用者の多いラインです。ただし硬いのでスプールへのなじみが悪く、慣れないとトラブルが多くなりがちです。
PEラインは細くても強度があるので、潮の速いときや水深が深いときに重宝します。半面、根ずれなどに弱いのでショックリーダーは必須です。船上でPEとショックリーダーを結ぶのはけっこう大変なので、初心者はナイロンから始め、他のラインの特徴や自身の釣り方に合わせて変えていくのが得策です。
ラインシステムは、より細い方が確かな技術が必要な上にゲーム性も高く、スリリングなのは間違いありません。ですが必要以上に細くするのは考えもの。確実にランディングし、優しくリリースした方が環境には良いのです
<リール> 予算の範囲内で軽量な物を
大別するとスピニングとベイトがありますが、初心者はスピニングが無難でしょう。
スピニングはキャストのたびにベールを起こす手間がかかる分、ベイトに比べて手返しが遅いと言われますが、競技をしている訳ではないので気にする必要はありません。
逆にベイトのようなバックラッシュなどのトラブルが少なく、比較的安価なリールで十分楽しめます。1000~3000番程度が適切で、ローギアでもハイギアでも構いません。
終始ロッドを持つので、予算の許す範囲で軽量な物を選びましょう。リールは性能を追求するよりも、自身の好みで選んでいいと思います。
<ロッド> スピニングとベイトのどちらも使える
スペースの限られた船上では、長いロッドは取り回しが悪く、6〜7ft前後のルアーロッドやバスロッドが扱いやすいと思います。タイプはスピニング、ベイトのどちらも使えます。適合ルアーウエートはスピニングが5〜25g、ベイトは5~40g程度。ミドルディープや沖堤防周りなどで、やや重いシンカーを使用する場合も十分対応できます。性能も価格もさまざまですが、特に高価な物は必要なく、予算内で選ぶといいでしょう。
<リグ> オールラウンドな3つのタイプ
ジグヘッドリグ
最もポピュラーで使いやすいリグです。シンカーとフックが一体で、ラインに結んでワームを装着するだけで釣りができます。利点は、バランスがベストならフォール姿勢が安定していること。中層に浮くソイやガヤはもちろん、青物にもアピールできます。ハリ先が露出しているので根掛かりしやすいのが欠点ですが、年中ジグヘッドリグで通す人もいます。ウエートは3/8オンス(10.5g)~1オンス(28g)を用意しておけば問題ありません。
テキサスリグ
底を攻略するのに最適で、オフセットフックやストレートフックを併用します。ハリ先をワームに刺し込むので、根掛かりしにくいのが特徴です。ストッパーでシンカーの可動範囲を決めます。ストッパーをシンカーのすぐ上に付け両者を密着させると素早く沈み、ストラクチャー周りを攻略するときに有効です。ストッパーとシンカーを離したときは、シンカーの着底からやや遅れてワームが着底するので、底付近でフォールによるアピール性が高まります。底付近でスイミング系ワームを泳がせられるので、ボトム攻略に欠かせないリグです。シンカーは3/8オンス(10.5g)~1オンス(28g)まであれば十分。大または2インチのワームには#2のフックを、3インチには#1/0、4〜5インチには#2/0〜#3/0を選ぶと間違いありません。
直(じか)リグ
フックのリングにシンカーを直結したリグで、「パンチショット」または「ゼロダン」とも呼びます。構造がシンプルで沈降性も良く、操作しやすいので、消波ブロックや捨て石の隙間などをピンポイントで攻略できます。シンカーは安価な3~6号のナス型オモリで代用可能。シンカーおよびフックサイズはテキサスリグと同様です。
ワーム
大別すると、ロックフィッシュが捕食する小魚や甲殻類を演出できるグラブ系と、小魚を模したシャッド系、甲殻類を演出するクロー系やホッグ系があります。勇払マリーナ近辺のシャローロックではいずれも実績がありますが、やはりその日の傾向というものがあるので、できれば3種類を全て用意しておきたいもの。サイズは2〜4インチで。
ワームは、メーカーのプロスタッフがテストを行い、釣果が確認されたものがリリースされているので、極論を言えば「どれでも釣れます」。重要なのは、ワームそれぞれの開発意図を釣り人が理解し、意図に沿った形で動かすことができるのかが釣果の分かれ目になる、ということ。つまり「釣れる、釣れない」は釣り人の側に要因があるのです。初心者は前記の3タイプを赤、茶、緑、白を中心にそろえて乗船すると安心でしょう。
消波ブロック周辺を攻略法するには
水深3~7m程度の浅い消波ブロック周りをワームで狙い撃ちします。魚がいなければ、移動しながらどんどん撃っていくので、船長のマイクアナウンスに従って仕掛けを落としたり、巻き上げたりします。消波ブロックの際をキャスティングで撃ったり、やや離れた深めの捨て石周りを探るのもありです。
シャローを攻める時季はボートロックのハイシーズンなので、消波ブロック際でも、ブロックの隙間でも、離れた捨て石周りでも、言ってしまえばどこでも魚は釣れます。ハイシーズンゆえに思わぬ大物も出るので、無理に抜き上げたりせず、慌てずにタモ入れを待って下さい。
根掛かりした場合は速やかにラインを手でつかみ、強引に引っ張って外すなり、切るなりして下さい。根掛かりしたままにするとオマツリを誘発するので、同船者に迷惑が掛かります。
気を付けていてもオマツリするときはしてしまいますが、オマツリしたときは絡んだ相手と同じスピードで巻き上げるといいでしょう。そうすると常にラインにテンションが掛かった状態を保てるので、それ以上絡むことがなく、船上でほどきやすくなります。
タマリスクからのお願い
本船では、スポーニング(産卵)期のアブラコ、ソイはオールリリースです。スポーニング期以外も大量のキープはご遠慮いただいております。ただ釣った魚をおいしく食べるのは釣りの魅力の1つでもあり、ほどほどのキープはOKです。シャローロックは、船釣りの基本が身に付くので入門者に最適です。秋シーズンにはぜひ一度チャレンジして下さい。乗船を心よりお待ちしております。