夏も盛りを迎え投げ釣りは小休止状態だが、冷たい海流が流れるえりもの黄金道路周辺は初心者でも比較的楽に大型の根魚やカレイが釣れる。冷涼で避暑にもぴったりな夏枯れ知らずのえりもで、ぜひ大物を狙ってみよう。
(髙谷 聡)

 

えりもで釣れる魚たち

ウサギアイナメ

道内に生息するアブラコ(アイナメ)の仲間は5種いるが、最も大きくなるのが本種。最大60cm前後まで成長する。全道一円に生息し、特に日高から根室にかけての太平洋沿岸に魚影が濃い。産卵期は夏〜秋。寿命は10年前後。

マツカワ

別名タンタカ。道内では主に太平洋沿岸に生息。以前は日高などで大型の天然物が釣れたが、1970年代以降、乱獲で資源量が激減。現在は放流活動により資源が回復してきている。雄より雌の方が大きい。最大70cmを超える。

カジカ

カジカは種類の多い魚だが、「ナベコワシ」の異名を持つトゲカジカが最も美味とされ、根物を狙う投げ釣り師に特に人気が高い。道内に生息するカジカの仲間では本種が最も大きくなり、70cmを超える超大型もいる。

コマイ

「氷下魚」の当て字があることから分かる通り冷水性の魚だが、えりも以東の太平洋やオホーツク方面では夏もよく釣れる。群れで回遊し、釣れ出すと当たりが頻発するケースが少なくない。濁りを好む習性がある。

クロガシラ

一般的にクロガシラと呼ばれる魚にはクロガシラガレイとクロガレイの2種がいるが、えりも方面に分布しているのは前者だと思われる。平均してクロガレイよりも大きく、最大で50cmを超える。雄よりも雌の方が大きい。

 

えりもの標準的な仕掛け

えりも方面で使用する仕掛けは、シンプルな胴突き1、2本バリ仕掛けで十分。メインラインはPE3号前後を使用。ミキ糸はナイロンライン14号。仕掛けの上部スナップから上バリのハリスまでの感覚は30cm前後。上バリのハリスから下バリにおハリスまでは40cm前後。下バリのハリスからオモリまでは15cm前後間隔を空けよう。

ハリスはエステルライン8号を使用。ナイロンよりも張りのある素材なので絡みづらく、海中でゆらゆら揺れて誘いにもなる。

ハリはチヌバリ10号前後または丸セイゴ18号前後を使用している。港内でカレイやコマイを狙う場合や、あるいは外海がしけて港内でしかサオが出せない、といった場合は、あらかじめコマセネットやハリスを結んだ丸セイゴ14号前後の仕掛けをを用意しておくと安心だ。釣り場によって使用する仕掛けのスペックが異なる場合があるので、詳細はお薦め釣り場の説明で併記する。

黄金道路では魚を海藻ごと引き抜くようなシチュエーションも考えられるため、ミチ糸と仕掛けの接続部分にかなり負担が掛かる。そのためミチ糸のPEラインを3回折り畳んで輪を2つ作り、その輪の長さを均等にする。2つの輪を束ねた状態で8の字結びにし、2つの輪に仕掛けのサルカンを接続する。この方法なら振り切れが防止でき、不意の大物とのやりとりも安心だ。ただしPEラインに傷があるとそこからすぐに切れてしまうので、こまめなチェックを怠りなく。

 

食わせエサ

食わせエサは解凍したソウダカツオの短冊(幅2cm前後)や、生または解凍したサバの短冊(幅2cm前後)を使用する。1匹掛けで使用するバナメイエビのむき身や、生のホッキ貝の短冊(幅1cm前後)は塩で締める。港内でカレイやコマイを狙う場合は生イソメや塩イソメも用意する。コマセはオキアミだけで十分な効果が見込める。

バナメイエビ
ソウダガツオ
サバ他
バナメイエビのむき身
ホッキ
イソメ

ココが狙い目! えりもの釣り場

●えりも岬漁港周辺(えりも町)

A点のえりも岬漁の岸壁は、車が横付けできる便利な投げ釣りのポイント。正面へのちょい投げで主にクロガシラやマツカワ、ウサギアイナメが狙える。

B点は通称「沈船根」を攻めるポイントで、正面の沈み根の際を攻めると大型のウサギアイナメやカジカが出る。

C点は正面の湾内に点在する沈み根周辺を攻めるポイント。対象魚はマツカワやアブラコなど。

タックルは、A点の港内でクロガシラやコマイを狙う場合はオモリ負荷30号クラスのロッドを使用。胴突き仕掛けのハリは丸セイゴ14号で。

エサは生イソメや塩イソメをして使用する。B点、C点の磯で狙う場合は鉛負荷35号クラスのロッド、リールはPEライン3号が200m位巻けるものを使用する。仕掛けは、胴突き1、2本バリ仕掛けや捨て糸付きの胴突き1、2本バリを使用する。

食わせエサはソウダカツオの短冊、ホッキの短冊、サバの短冊、バナメイエビの1匹掛けを主に使用している。

えりも岬漁港のすぐ左にある護岸は釣り座が構えやすい

千平海岸(えりも町)

この海岸は潮位50cm以下の時にポイントが露出するので、潮位表の事前確認が必須。タックルは、ロッドがオモリ負荷35号クラス、リールはPE3号が200m程度巻けるもの。

仕掛けは胴突き2本バリで、ハリはチヌバリなら10号前後、丸セイゴなら18号前後を使用する。食わせエサはソウダガツオの短冊、ホッキ貝の短冊、マサバの短冊、バナメイエビ1匹掛けを主に使用する。

A点は正面の湾内、左右の離れ岩周辺がポイントで、良型のウサギアイナメやカジカが狙える。

B点はなぎの時、潮位が50cm以下になると露出する岩の上に乗り、正面の離れ岩周辺に投げて良型のウサギアイナメを狙う。潮位が20cm以下なら長靴でも離れ岩に渡れるが、ウエーダーを着用した方が無難だろう。

千平海岸で釣れた赤みを帯びたカジカ

目黒漁港周辺(えりも町)

同港と周辺の磯は入釣しやすく釣り人の少ない穴場のポイント。

A点は旧道沿いを歩いて入釣。通称トウフと言われる四角いケーソンの上に乗り、正面の離れ岩周辺や40m付近にある沈み根周辺に投げ込むと、良型のアブラコやカジカが釣れる。

B点は正面の沖防波堤周辺を攻めるとソイやアブラコが釣れる。港内へのちょい投げではクロガシラやコマイの数釣りも可能。外海側の消波ブロック越しに投げると、シーズンには良型マツカワが上がる。

C点は消波ブロック越しに外海側へ投げると良型のマツカワが釣れる。港内ではクロガシラやコマイの数釣りが狙える。

タックルは、A点の磯で狙う場合はオモリ負荷35号クラスのロッド。リールはPEライン3号が200m程度巻けるもの。仕掛けは胴突き1、2本バリで、根掛かり対策として捨て糸を併用する。食わせエサはソウダガツオの短冊、ホッキ貝の短冊、マサバの短冊、バナメイエビの1匹掛けを主に使用する。

港内のB点やC点でクロガシラやコマイを狙う場合は、ロッドはオモリ負荷30号クラスを使い、ハリは丸セイゴ14号、食わせエサは生イソメや塩イソメに変更する。

目黒漁港そばの海岸で釣れた良型のウサギアイナメとカジカ

音調津漁港周辺(広尾町)

音調津漁港の左にある海岸のA点、B点、C点は、サーフの投げ釣りポイント。長靴でも入釣できる。

A点は正面沖の60m付近の沈み根周辺へ投げ込むと大型ウサギアイナメやカジカが出るポイント。

B点は湾内に多数点在する沈み根周辺を狙うと、ウサギアイナメやマツカワが釣れるポイント。

C点は音調津川河口の左右から30~50m付近の沈み根周辺を狙うと、ウサギアイナメやマツカワが釣れる。

同港の右にある海岸のD点E点は、潮位40cm以下で岩盤が露出する投げ釣りのポイント。どちらもウェーダーが必須で、さらしを歩いて前進して露出した岩盤に乗り、正面の沈み根周辺へ投げ込んでウサギアイナメやカジカを狙う。

タックルは、ロッドがオモリ負荷35号クラス、リールはPE3号が200m巻けるもの。仕掛けは胴突き2本バリを使用。ハリはチヌバリなら10号、丸セイゴなら18号を使用する。エサはソウダガツオの短冊、ホッキ貝の短冊、マサバの短冊、バナメイエビの1匹掛けを主に使用する。

D点の海岸。入釣は波がなく潮位40cm以下が目安