従来8月は「夏枯れ」と呼ばれ、魚が釣れない季節と言われてきたが、近年は温暖化の影響か、夏だからこそよく釣れる魚が増えている。夏休みのファミリーフィッシングにぴったりなそんな魚たちに、サビキ釣りやライトジギングで挑戦しよう! (北條 正史)
タックル選びは慎重に
サバやマイワシなど青物は掛かるとすごい速さで横っ走りするので引き味抜群、スリル満点だ。それゆえタックルの選択を間違うとばらしが頻発したり、他の釣り人とラインが絡まったりするなどトラブルが発生するので注意が必要になる。
サビキ釣り
ロッド
硬さ3号程度の磯ザオが好ましい。これ以上軟調だと取り込みに苦労するし、逆に硬過ぎるとばらす原因になる。長さは4m以内が扱いやすいが、一般的なルアーロッドでも代用できる。
リール
3000番以上の中~大型スピニングリールが適切。HG(ハイギア)ならスムーズに魚を取り込める。筆者愛用のベイトリールは、親指でクラッチが切れ簡単にラインが送り込めるので非常に便利。
ライン
感度重視なら1号程度のPEラインがお薦めだが、2~3号のナイロンラインでも大丈夫。ただし巻き癖が強いと釣りに支障が出るので、使い古したラインはなるべく新品に交換しよう。
仕掛け
青物を想定するならサビキは7~10号が適切。スキンやハゲ皮などタイプの異なる物を数種用意したい。サバやマイワシは食い気がある時は大きいハリの方がばらしが少ないが、食い渋りが見られるようになったらハリサイズをダウンした方がいい。ただし大幅なサイズダウンはNG。一般的にハリをサイズダウンするとハリスも細くなるが、40cm級のサバが掛かると細いハリスでは対処できず、切れてしまう恐れがある。最低でもハリスが1.5号以上の太さの製品を選んでおくと安心だ。
コマセカゴ
サビキ釣りの場合、コマセカゴは必須アイテムといっていい。もちろんヒシャクでマキエをまいてもいいが、ついつい過剰にまいてしまい無駄が多く、潮の流れを読んで投入しないと効果も薄い。その点、コマセカゴは効果が仕掛けの周囲に及び、魚を確実に寄せることができる。通常コマセカゴは仕掛けの上に付けるが、当たりの感度を優先するなら仕掛けの下に付けた方がいい。筆者が愛用するオモリ内蔵のプロマリン「パックンカゴ」は、バネ仕掛けで口が開き、片手で口を開いてアミエビの補充が可能。手返しが良く、手も汚れない。
エサ
寄せエサ、付けエサ共にアミエビでいいが、なるべく鮮度のいいものを使用したい。付けエサはスピードエサ付け器を使用してサビキ仕掛けにこすり付けるが、魚の食いが立っている時はエサなしでも釣れる。
釣り方
サオ先を上下に動かして誘うパターンと、置きザオにして待つパターンの2通りがある。目視で容易に見えるほど魚が多く寄っているときは、擬餌バリが見切られていることが少なくないので、仕掛けをゆっくりと動かし、寄せエサのアミエビと擬餌バリを同調して食わせよう。魚が寄っていないときは置きザオにして群れが寄るのを辛抱強く待つ。魚影が見えればしめたもの。これらはエサや擬餌バリにすれてない魚なので、問題なく仕掛けに食い付いてくるはず。魚が寄っている時でも、下手に誘うより置きザオの方がいいこともあるので臨機応変に対応しよう。
周囲が釣れているのに自分だけ釣れない! そんなとき考えられる原因とは
「アミエビが古い」
冷凍と解凍を何度も繰り返したり、長期間常温で保存したアミエビはエビの原型をとどめておらず、マキエとしての効果が薄い。なるべく新鮮なものを用意して釣りに臨もう。
「ラインが古い」
ナイロンラインが劣化した場合はスパイラル状に巻き癖がつき、当たり感度が鈍る。魚が食い付いてもサオに当たりが伝わりづらいので、ラインの巻き替えを検討しよう。
「サオが硬過ぎる」
一般的に魚はエサに食い付くとそのまま泳ぎ出すが、その動きがラインからサオ先へ、サオ先から人の手へ、と伝わる。このとき、魚が違和感を感じるとハリを吐き出すが、サオが硬ければ硬いほど食い込みが悪く、ばらしが発生しやすい。抜き上げの時も同様にばらしが多くなるので、サオは適切な硬さのものを選ぼう。
食い渋り必勝法
偏光グラスを使用する
サビキ釣りでは魚を目視できることが多く、そんなときによく観察すると、マキエは食べるが、ハリに食い付いた時はすぐに吐き出すといったケースが多々ある。そんなときはハリに食い付いた瞬間に合わせると効果的だが、偏光グラスがあれば海中が良く見えるため、魚が食い付いた瞬間を見逃さない。
素バリ仕掛けとスピードエサ付け器の併用
サビキの擬餌バリが見切られて食い渋りが見られるときは、素バリのサビキ仕掛けに、スピードエサ付け器でアミエビをこすり付けると状況が好転することがある。サビキ釣りでは必須アイテムといっていいスピードエサ付け器の導入を検討しよう。
ショアライトジギング
ある程度大きなサバはジグでも狙えるが、最近はジグとサビキを組み合わせたジグサビキが流行している。ジグサビキのメリットはなんといっても広範囲を探れること。サビキ釣りに比べてひと回り大きいサイズが狙え、フクラギやカンパチも釣れる。
ロッド
ロッドは8〜10フィート。ライト~ミディアム程度の硬さがいい。大型のサバやフクラギが釣れているときは、パワーに負けないよう硬めのロッドがいいが、中型以下のサバやマイワシの場合は柔らかめのロッドが適切だ。
リール
ファミリーフィッシングであれば2500番以上が好ましい。子どもなら、キャストしやすく軽量な2500番で。
ライン
感度と遠投性能を両立するPEライン1号前後がお薦め。当たりを弾かないように3~4号のナイロンリーダーを1mほど結ぶ。
ジグサビキ
ジグは25g前後で、カラーやフォルムは異なるものを数パターン用意しローテーションしながら使う。サビキは10号ほどで、やや派手な擬餌バリがいい。
釣り方
ジグサビキは着水直後にヒットすることが往々にしてあるので、着水後はすぐにリールのベールを戻し、ラインにテンションをかける。カーブフォール中にヒットすることもあるので着水後も気は抜けない。着水後、ベールを戻さずラインをフリーの状態にしたままにすると、フォール時の当たりが取りづらくなるので注意したい。フリーフォール時にラインの放出が止まったり、急に早くなったときは魚が食い付いた可能性があるので、ベールを戻して素早く合わせよう。
ジグはただ巻きでも釣れるが、着水直後からリトリーブを開始したり、ボトムタッチ直後からリトリーブしたり、あるいは中層でリトリーブするなどレンジを変えてみるのも効果的。注意したいのは、ルアーがしっかりと泳ぐ速さでリトリーブすること。リトリーブが速過ぎるとルアーが泳がず魚の反応が悪い。どの程度の速さで引くとよく泳ぐのかは、表層をリトリーブし目視で確認しよう。
朝まづめはボトムからリトリーブを始めた方が釣れることが多く、日が高くなるにつれて食い気がなくなるのでジグを少し重くして、少し速めのリフト&フォールでリアクションバイトを誘いと効果的だ。予想外に大きなサイズが釣れることがあるのでタモは必須だ。
ファミリーフィッシングにお薦め! 苫小牧東港一本防波堤
道内初の有料海釣り施設、苫小牧港一本防波堤では夏にジグサビキなどでサバやフクラギが釣れる。サビキ釣りは基部側が良く、ジグは先端側がお薦め。日本釣振興会の委員として筆者は2年ほど試験釣行を繰り返してきたが、サビキ釣りは非常に安定しており、サバやチカ、サヨリなど通年通して釣果を得られた。足場も良く、ファミリー層にはもってこいの釣り場といえる。監視員が常駐していて救助船もあり、安全面もばっちりだ。
●入場料は大人1500円、中学生1000円、小学生500円。別途駐車料金1台800円が必要。小学生未満の子ども、保護者の同伴または引率のない小中学生は入場不可。その他注意事項などはホームページで確認を(『苫小牧港海釣り施設』で検索)