高い人気を誇るエギングの中で、エギにエサを付けるエサ巻きエギングが台頭している。そこで今回はエサ巻きエギングに適したタックルやテクニック、レンジの狙い方などを解説する。
(高谷 聡)

 

エサ巻きエギングとは

エギはイカを釣るには最適なルアーだが、「エギにイカの好むエサを付けたらもっと釣れるのでは?」と誰もが考え、すでに試している人も多い。この釣りの特徴はエサのにおいや味、感触といった武器を持ちながら、ルアーのアピール力を生かし、広いレンジを探ることができる。まさに「エサとルアーのいいとこ取り」した最強のタッグがエサ巻きエギングだ。

エサ巻きエギングでヒットしたマイカ

 

抱き付く時間が長くなるエサ巻きエギング

エサ巻きエギングでイカを釣ると経験上、エサを付けた背中をかまれることが多くなるのでエサの効果は一目瞭然だ。ほかにも匂いによる集魚効果もある。だが一番のメリットはイカがエギを抱く時間が長くなることだろう。

イカはエギを抱いて違和感を感じると、瞬時にエギを放す。その前に合わせるのがベストタイミングだが、風や波があるとラインがたるみ、エギが海中で不安定に揺れて当たりが分かりにくい。このような状況下でもエサ巻きエギングではエサを抱いている時間が長いため、当たりが分かりやすくなってヒット率アップにつながる。

また、イカがいるのか、それともいないか分からない時の探り釣りや、手っ取り早く結果を出したい時にも適した釣り方といえる。

マイカを狙うエギンガー

 

エサ巻きエギングのタックル

リールはPE0.6~0.8号が150~200m巻ける2000~3000番のシャロースプール(浅溝)モデルのスピニングリールが最適。ロッドはエギング専用ロッドが望ましく、8フィート〜8フィート6インチが扱いやすく、長時間振っても疲れにくい。

アクションは3号前後のエギをキャストできるミディアムライトかミディアム。道内ではマメイカのエギングが盛んなため、ライトタックルで代用する人がいるが、エサ巻きエギングはエギにエサの重みが加わるのでアオリイカにも対応できるパワーがある方が安心だ。

 

エサの付け方

エギに巻くエサはいろいろな種類を試したが、現状では鶏のささ身に落ち着いている。釣果がいいのはもちろんだが、好みの大きさにカットしやすく、アクションを加えてもエサが外れにくくてエサ持ちもいい。また、入手もしやすく、コストパフォーマンスにも優れている。

ささ身は下準備としてエギの幅よりも広くならず、巻き付けたときに頭と尻尾からはみ出ない大きさ(棒状)にカットしておくといい。そのまま使わずにキッチンペーパーや新聞の上に置いて塩や塩エビ粉、塩ニンニク粉などをまぶして2時間ほど締める。水分が出たら敷いていた紙を替えて新聞などで包んで保存する。こうすることで硬さが増してエギに付けやすくなり、エサ持ちがさらに良くなる。

エサの付け方はエギの背中部分に鶏のささ身を載せて針金で巻き付ける方法が知られているが、エサ付け専用のエギが発売されていて装着が楽。中でもヤマシタの「もぐもぐサーチ」は背中部分にあるプラスチック台にエサを載せてゴムバンドでエサを固定するだけですぐに使える。このプラスチック台にはエサずれ防止用の突起物も付いている。

エギの大きさはイカの種類やサイズで使い分ける。マイカやヤリイカなどツツイカの仲間なら2~3号のエギがマッチする。エギのカラーは通常のエギングと同様に時間帯や天候に応じて使い分ける。エサが付いていてもカラーによる影響は大きいのでさまざまなカラーを用意しておくと便利だ。

鶏のささ身は塩で締めると硬くなって付けやすくなる上にエサ持ちもいい
エサ装着が前提のヤマシタ「もぐもぐサーチ」

もぐもぐサーチのエサの付け方

 

釣り方は通常のエギングと考え方はほぼ同じだが、エサ巻きエギングはエサとして見せた方がいい。アクション直後にエギの流れ方やフォール中の姿勢の悪さ、フォール中のぶれが原因で警戒してエギを抱かないことがある。

だが、エギにエサを載せるとバランスが崩れてしまい、意図した姿勢や動きは引き出せない。さらにエサを巻いたエギはもっさりとした動きになって、ロッド操作を加えてもキビキビとした動きにならなくなる。

それなら違和感のある動きで誘うよりもエサの魅力を最大限にアピールした方がいい。通常のエギングでは、波動や瞬間的な動きと「静」のフォールでイカを寄せ、リアクションや好奇心でエギを抱かせる。

エサ巻きエギングでは一定のアクションで寄せたら、後はエサのにおいや味、感触といったリアルさを武器に警戒心を緩ませてエギを抱かせる。

操作方法は、まずはエギをキャスト。着水後にリールのベールは返さずにフリーフォールでエギを沈める。狙いのレンジにエギが到達したらロッドをソフトに大きくにあおってエギを持ち上げ、余分なラインを巻き取ったら再びフォールさせ、自分の方向に寄るように沈めながら泳がせる。

狙うレンジからはみ出ないようにある程度泳がせたら再度ロッドをあおってエギを浮かせて、再びフォールを繰り返すリフト&フォールの要領だ。

もう1つはスローリトリーブのスイミング。狙いたいレンジからエギがはみ出ないスピードでただ巻きをする。簡単な操作法だがこの2つの操作を基本に組み立てるといい。

また少し特殊なテクニックだがベタ底のステイが効くことがある。以前、マイカの実釣時に波や風が強い日、エギをキャストしても着底したのか分からないことがあった。そこでエギを着底させるために水深約15㍍の場所で1分間以上エギを放置すると、面白いようにマイカが釣れた。

単にエギが波や潮で揺れてアピールしたのではなく、恐らくエサに反応したもので、「エサの威力はすごい」と感じた。波、風が強いときにぜひ試してほしい。ただし、根掛かりの多い場所では不向きなので注意が必要だ。

 

 

 

狙うべきレンジとは

私はレンジを大まかに3分割して捉える。キャスト後、まずは水深を確認するためにカウントしながらエギを着底させる。たとえば着底まで15カウントしたら、海面から5カウント沈めた場所までを上層、5〜10を中層、10〜15を下層としてイメージする。

水深がそれ以上深くなる場合は同じ要領でタナを4分割や5分割する。イカは常に同じレンジにとどまらないが、釣れるレンジが分かれば釣果アップの近道になる。

 

最後に

「エギにエサを付けるのはちょっと…」と抵抗を感じるエギンガーもきっといるはず。確かにエサを付けたからといってすべてのシーンで有効ではないが、この手法を取り入れることで、釣果アップの引き出しが増えるのは事実だ。「シンカーに穴を空けてシャロータイプにしたい」「底が取れないからウエートを増したい」など、場所や状況に合わせてエギをカスタマイズしても繊細なエギはバランスを崩してしまう。そんな時に専用のエギにエサを付けるというちょっとした工夫を加えることで、前述の悩みが解消できる。まだ試したことがない人は一度、この釣りの魅力にぜひ触れてほしい。