雪深く春まだ遠いが、抱卵物のマガレイが狙えるシーズンはすぐそこまで迫っている。春を待ちきれない太公望のために、抱卵マガレイの攻略法と、岸寄りが速い後志地方のお薦め釣り場を紹介する。
(むかわ・大内 一程)

 

抱卵マガレイの特徴は?

後志地方の抱卵マガレイは例年2月後半から岸寄りを始め、3月中旬~4月にハイシーズンを迎える。しかしながらシーズン前半に釣れるカレイはポイントが遠く、過去の経験上、遠投すればするほど釣果が上がる。好釣果を得るには100m以上の遠投が必須条件といえる。

 

遠投を可能にするワンポイント

遠くに飛ばすためには、理論的には長いサオを速いスピードで振り抜ければ飛距離が出ることは間違いないが長過ぎるサオを速く振り抜くのは難しい。私自身、陸上でシンカーを投げて飛距離を争うスポーツキャスティングの選手でもあるが、実際の釣りでは4.25m、スポーツキャスティングでは4.15mとそれぞれ長さの違うロッドを使用している。私はロッドを振り抜くスピードが遅いため、長めのサオを使って大きな円軌道で投げることに重点を置いている。振り抜くスピードが速い人は3.85~4.05m程度の短めのロッドを使った方が、飛距離は伸びる可能性が高くなる。

 

基本タックル

【ロッド】

遠投用のロッドは、基本的にリールシートがバットから80cmほど上にあるハイシートで、並継ぎタイプと振り出しタイプに分けられる。並継ぎタイプは通常3本継ぎで、遠投性能は高いが仕舞い寸法が長くなり、汎用ロッドケースでは収まらず、並み継ぎ専用の長いロッドケースが必要。ロッド本体も高価で、価格面でデメリットがある。振り出しタイプは並継ぎに比べ若干遠投性能は劣るが、仕舞い寸法が短く持ち運びが便利だ。長さは3.85~4.25mでオモリ負荷は27~35号。アングラーの身長、体重、体力などに合わせて選択しよう。ロッドは長いほどキャスティング時にロッドティップが描く軌道が大きくなり、理論的には飛距離が出るが、逆に振り抜くスピードは遅くなる。私は身長171cm、体重73kgだが、カレイ釣りでは30号4.25mのやや長い並継ぎロッドを好んで使用する。

 

【リール】

投げ釣り用のリールは遠投用の細糸タイプで、道糸はナイロン1号200mまたはPEライン1.5号200mをチョイス。スプールは浅溝タイプが適している。私は道糸PEライン1号200mにテーパーライン(力糸3-16号)を結び使用している。道糸はナイロンラインでもいいが、早春は水温も低いため、抱卵カレイはまだ食い渋りも多く、明確な当たりが分かるPEラインを私は好んで使う。価格も現在200m巻きで1500円前後で購入できるため、ひと昔前ほど高価なイメージはない。

 

【エサ】

食わせエサに関しては、北海道では遠投の際、ちぎれないように定番の塩イソメを使い、集魚効果をアップさせるためにエビ粉やニンニクパウダーなどをまぶした物などが効果的だ。また大型になればなるほどマガレイは身エサ(サンマ、カツオ、エビ)などを好んで捕食する傾向が高くなる。釣ったマガレイをさばいて胃の中からコウナゴなどが出てきた経験がある方も多いと思うが、私自身も塩イソメの他に、砂糖に漬けたサンマを好んで使用する。砂糖の方が塩で締めるよりも生に近い状態を保てるからだ。以前、塩漬けサンマと砂糖漬けサンマを使い釣り比べたことがあるのだが、砂糖漬けサンマの方が断然ヒット率が高く、それ以降、塩イソメをメインに砂糖漬けのサンマも持参するようになった。

砂糖漬けサンマの作り方
サンマを幅1cm長さ3cmにカットし、サンマ1匹に対し砂糖をレンゲに3杯入れて一晩寝かす。完成すると砂糖でねっとりとコーティングされた状態になる。塩で締めているわけではないので、一度海水に浸かると砂糖のコーティングが剥がれ再使用は使用できない。

 

【寄せエサ(コマセ)】

コマセは基本、冷凍アミエビブロックを半冷凍状態のままコマセロケットの大きさに合わせてカットして使用する。その他、イカゴロや市販の粉物も有効だ。

 

【仕掛け】

北海道ではメジャーな胴突きタイプを基本に、釣り場によってハリ数などを増減して使い分ける。

❶胴付き段差2本バリ仕掛け……130m以上の超遠投時に使用。下バリがないため根掛かりのあるポイントでも有効。

 

❷L型テンビン2本バリ仕掛け……下バリにL型テンビンが付いていて絡みにくく、遠投性能も高い。

 

❸遊動式テンビン仕掛け……L型テンビンよりも遠投に優れているが、潮の動きなどで下バリが絡むことがあるのが欠点。

 

❹コマセロケット付きL型テンビン2本バリ仕掛け……ロケットカゴにオキアミなどを詰めて集魚効果を上げ、かつ遠投力のある仕掛け。コマセの分だけ重くなるので、オモリは(30号を27号にするなど)1ランク軽くした方がいい。

 

早春のお薦めカレイ釣り場

茂岩海岸(泊村)
●ベストシーズン/3月初旬~4月中旬

ポン茂岩のA地点と弁天島のB地点がポイント。好条件は東混じりの風が吹くときで、西混じりの風が強いときは波をかぶるので要注意。A点は民宿前の階段状護岸を通り過ぎ、磯伝いに入釣する。途中、大岩の上り下りがあるので転倒などしないよう注意したい。大岩を越えると見通しのいい岩場となる。沖正面を狙うA点は小高い岩で釣り座を構えやすい。多少根が張り出ているが、50m投げれば砂地に届く。対象魚はマガレイをメインにスナガレイ、アサバガレイ、ソウハチ、クロガシラ、カワガレイなどのカレイ類のほか、ここもホッケが釣れる。B点へは茂岩弁天橋を渡り、途中までは整備された遊歩道なので歩きやすい。意外と沖まで根が張り出しているため、80m以上の遠投が必要な中級者以上のポイントといえる。遠投すればするほど釣果が上がる。対象魚はA点と同様。

 

兜岬(泊村)
●ベストシーズン/3月中旬~4月中旬

ベストポイントは岬先端部。入釣条件は北東の風が吹くときで、西まじり風が強いと波をかぶるので要注意。兜千畳敷から岩場を歩いて入釣するので背負子(しょいこ)にタックルやロッドを縛り、いざという時のために両手はフリーにしておきたい。途中、岩が凍結して滑りやすい箇所もあるためスパイクブーツが必須の上級者向けのポイントだ。岬周辺は50m付近まで荒根が続き、最低でも80m以上の遠投が必要。しかしながら入釣できれば2ケタ釣りがほぼ確実な一押しポイントでもある。過去に2人で30cm以上の抱卵マガレイを70匹以上釣り上げた実績がある。魚種はマガレイをメインにスナガレイ、アサバガレイ、ソウハチ、クロガシラ、カワガレイ、イシモチ、ホッケと多彩で、夜釣りで近くの根回りを狙うとソイ類やアブラコ、カジカも釣れる。仕掛けはL型テンビンなどをメインに、当たりが減ったときなど時間帯によってコマセカゴも併用する。エサは塩イソメをメインにサンマ、カツオ、紅イカ、エビなど。このポイントもシーズン前半は100m以上の遠投で釣果が上がる傾向が強いため、遠投自慢の方はぜひチャレンジしていただきたい。

 

寿都漁港
●ベストシーズン/3月初旬~4月

北防波堤先端部がベストポイント。入釣条件は南混じりの風が吹くときで、防波堤が高いため波の心配はさほど無い。ポイントとなる防波堤の周りには基礎石が敷設されているため多少根掛かりするが、30m前後も投げれば砂地に到達するので大きな問題とはならない。シーズン初めは40cm以上の抱卵物の大型マガレイやクロガシラが釣れ、ここも他の釣り場と同じく遠投すればするほど釣果が上がる傾向が強い。他に釣れるのはスナガレイ、ソウハチ、イシモチ、カワガレイやホッケなど。まれにカナガシラも釣れる。エサは塩イソメをメインにサンマ、エビなど。経験上、3月はコマセロケット付きの仕掛けを併用し釣果を上げた実績があるが、年によっては外道のギスカジカ(ツマグロカジカ)がうるさいので、そんなときはコマセカゴを外そう。入釣途中に高い段差があるので脚立かはしごの準備を。