全国的な人気を誇るロックフィッシュゲーム。海の豊かな自然を味わいつつ、根掛かりを恐れずガンガン攻める「磯ロック」は、レベルアップを目指すロックフィッシャーにとって、避けて通れない関門だ。
スタートは装備をそろえるところから
磯ロックでは、ゲームベスト(ライフジャケット)やキャップ、偏光グラスは必須の装備といえる。中でも重要なのはライフジャケットとグローブ、スパイクだ。これらにウエーダーを追加すると、普段は行けないエリアを探ることができ、可能性が大きく広がる。磯場に入るときにクーラーボックスやロッドケースを原則携行しないのは、荷物が多いほど機動性が損なわれ、ポイント移動がしにくくなるから。広範囲を効率よく探るロックフィッシングは、荷物はできるだけ少ない方がいい。ゲームベストにルアーやリーダーなど、釣りに必要な物を全て収納しよう。こうすると万が一磯場で転倒しそうになっても、片手が空いているので大事に至るケースも減る。
1.ゲームベスト
各メーカーから多様な製品が発売されている。ポケットの収納力は必ずチェックしたいポイントだ。個人的には、腰ベルトの他に前面のジッパーを覆うようにベルトが付いている製品がお薦め。腰ベルトを締めてゲームベストを身体にフィットさせると、疲労の軽減に役立つ。前面を閉じるジッパー付近にあるベルトを締めるとジッパーに掛かる力が減るので、経年劣化で壊れやすいジッパーの故障率が下がる。
2.グローブ
磯場は歩きにくく、岩が鋭くとがっていたり、フジツボなども付着している。こういった場所で素手で手をつくとケガにつながるので、グローブは必ず着用したい。転倒時のケガを防ぐ意味でもグローブは欠かせないアイテムだ。暑い夏は親指、人差し指、中指の3本が出るタイプが良く、寒い冬はフルカバータイプが適している。
3.フットウエア
磯場で最も怖いのは転倒や滑落である。足元にびっしり海藻が付着していたり、滑りやすい岩で転倒しないよう、ウエーディングシューズのフェルト底にフェルトピンを打ち込み、長靴はピンタイプの物を使用したい。だがいくら準備が万全でも完全に転倒の危険性を排除することはできないので、どうしてもそういった場所を歩く必要があるときは、なるべく滑りにくい貝の上を歩き、岩のりなどの藻類が付着した岩の上に足を載のせないようにしたい。
4.リグ
磯場は港やサーフに比べ根掛かりが多い印象だが、たとえ海藻で根掛かりしても、外すことのできるケースは意外に多い。ただフックが剥き出しのリグやトリプルフックが付いているルアーは磯場では難があるので、テキサスリグの使用率が8〜9割を占める。
5.ロッド、リール
磯ロックで使用するタックルはパワーのあるタイプがお薦め。近距離や中距離を探るときはベイトタックルを選択する。ロッドは8フィート以上のEXH(エキストラヘビー)などパワーのあるものが良く、リールは16Lb(4号)ラインが100m以上巻けるもの。浅いエリアで大型のアブラコと対峙すると、岩礁などにラインがこすれる可能性があるため、ラインは耐摩耗性の高いフロロカーボンを使用する。ポイントが遠い場合はスピニングタックルを使用。ロッドは9〜10フィートのMH〜EXHで、リールは4000番。ラインはPE1号前後。リーダーとしてフロロカーボン16〜20Lbを付ける。
6.テキサスリグ
シンカーは14〜42gのブラス(真鍮)製かタングステン製が使いやすい。オフセットフックのサイズはワームの大きさによるが、ワームの中心サイズは4インチ前後。3インチから8インチまでを各種ゲームベストのポケットに入れ持ち歩くといいだろう。オフセットフックは1/0から6/0まで各クラスを携行する。フックとシンカーの間に挟んで音を出し魚の興味を引くビーズは、日中はキラキラ光るメタリック系を、暗いうちは夜光系などをチョイス。春先に濁りがあるようなときはオレンジや黄色を使う。
7.巻き物系ルアー
ブレードに水流を受けるとフラッシングし、振動や激しい動きで魚を刺激するいわゆる「巻き物ルアー」。代表的なのはチャターベイトやスピナーベイト。特にアブラコは振動や波動を感じ取る能力が高く、シーズンを通して必ず携行する。ワームをトレーラー代わりにすることも多い。14〜34gをシャローゲームで使用することが多い。
8.ワーム
春は魚の動きが鈍いため、例えば匂いで魚の興味を引く生分解性ワームを使ったり、甲殻類系を使いゆっくりした動きでボトムを探るか、スイミングやリフト&フォールで波動を出し魚の興味を引く。夏から秋はスイミングが主で、シャッド系やカーリーテール系が中心。冬は産卵期が絡むため、甲殻類系か波動の出るカーリーテール系の出番が多い。ただ個体の性格なのか、ゆっくり誘う方が良かったり、スイミングなど速い動きに反応したりするので、状況に合わせてアクションを決める。
ポイントと時季
磯でアブラコを狙うポイントはストラクチャー(障害物)周りが基本だが、岩の切れ目やシャロー(浅瀬)の水たまりなどにも魚はいる。ボトム地形は高低差があったり、大岩がごろごろ転がっているなど、砂地でフラットでなければどこにでもアブラコはいる。
特に産卵期である秋や初夏は、水深が1m程度あればそこはもうアブラコのポイントである。シャローエリアは、ウエーディングしている足元で50cmを超えるアブラコが食いつく瞬間が見られるのも醍醐味だ。磯のアブラコのシーズンは4月〜翌年1月と長いが、水温が下がる時季は少し深場にいる傾向が強い。
ソイ類はアブラコと生息場所が若干異なり、水深のある場所を好む。急なかけ上がりやワンドの最深部などが狙い目で、アブラコのようにシャローエリアに入ることは少ない。時季は周年だが、大型の好機は4〜6月であろう。
6月は磯ロックのハイシーズン!
6月に入り気温とともに水温が上がり始めると、磯アブラコのハイシーズンである。この時季、札幌近郊だとコウナゴ(小型のイカナゴ)などのベイトが岸寄りしているので、それらを捕食するため浅場に入ってくることが多い。ウエーディングすると目の前まで追っかけて来たり、ジャンプして捕食しようとする姿が楽しめることもある。
6月中に釣れるベイトを飽食した個体はどれもパワーのあるファイトが楽しめる。年にもよるが、アブラコと同時にガヤやクロゾイも釣れる。他には、油お狙いでは外道だが、ヒラメが水面で爆発するように捕食するシーンを目にすることもある。自然界では珍しくないシーンだと思われるが、実際そんなシーンを目撃したときは感動の一言。こうした自然界のダイナミックな営みにじかに接することができるのも、磯ロックの楽しみの1つといえるのではないだろうか。