日本最北の重要港湾、稚内港は5〜6月にクロガシラが旬を迎えるが、規模の大きな港だけにポイントは数多い。そんなポイントの中でも特に期待が持てる釣り場をピックアップ。攻略法やタックル、仕掛けなども紹介する。

 

狙うべき時間帯とは

クロガシラは外海が荒れて波が高いとき、まれに夜釣りで釣れることがあるが、通常は夜間に釣果が上がることは極めて少ない。稚内港では日の出〜正午までと、午後3時前後〜日没までが勝負と言われ、その時間帯に満潮や干潮のピークが重なれば大チャンス。釣行の際は潮汐表の確認が欠かせない。

 

遠投用のタックルは不要

さほど遠投しなくても釣果が上がる稚内港では、一般的にオモリ負荷20~30号、長さ2.7~4m程度の振り出しタイプの投げザオを使用する人が多い。遠投不要なので、メインラインはナイロンの4~5号で十分。リールは3000~5000番が適切だ。

 

イソメは鮮度に気を付ける

基本的にはイソメでいいが、近年はイソメタイプのワーム、人工ワームでも実績が上がっている。これから気温が高くなる時期に入るため、人口ワームは鮮度の低下を気にすることなく使える利点がある。魚の食い気を誘うという点では抜群の生イソメを使用する際は鮮度に気を使い、使用時以外は必ず保冷剤を入れたクーラーボックスにしまっておこう。塩イソメを使う場合、エビ粉をまぶした方が食いが良く、地元では定番エサの1つになっている。

 

コマセネットで好釣果を狙う

幼魚期には植物プランクトンや動物プランクトンを捕食するクロガシラはアミ類が大好物だ。地元では寄せエサを使わない人が多いが、食性を考えるとオキアミを詰めたコマセカゴやコマセネットを使った方がより期待が持てる。ただアカハラが多いときにネット仕掛けなどを使うと、猛攻にさらされて本命が釣れなくなるので使用は控えた方がいい。

 

当たりの出方と合わせのタイミング

経験的にある程度以上の大きさまで成長したクロガシラは、小型のように一気にエサを飲み込むケースが少なく、じっくりのみ込む傾向が強い。そのため当たりはサオ先が軽く数回揺れた後(=前当たり)、上下に激しく揺れることが多い。激しくサオ先が揺れた時(=本当たり)が合わせを入れる絶好のタイミング。サオを立てて一気にフッキングに持ち込もう。

 

エッグボールで食い気を誘う

ハリのチモトに小型の夜光玉が付いた2、3本バリの胴突き仕掛けや遊動式仕掛けが適切。ハリのサイズはカレイバリや丸セイゴの13~15号がいい。小さな魚信を的確に伝える胴突き仕掛けの使用者が地元では多い。波が穏やかなのときや潮が止まっているときは、微妙な潮の動きでもゆらゆらと動いてアピールできるエッグボール付きやフロート付きがお薦めだ。

 

稚内港ポイント詳細解説

❶北埠頭

背後に北海道遺産の北防波堤ドームがあり、西寄りの風に強いこの埠頭は、砂地が主体で飛び根が点在しているが根掛かりは少ない。温水プール水夢館(すいむかん)の裏にある『しおさいプロムナード』の岸壁は階段状になっており、転落防止のフェンスが設置されているので家族連れも安心して釣りが楽しめる。ここは中投げや遠投ではなく、岸壁際から20m先までの間を探るのが正解。付近に巡視船が係留されているときは、周囲一帯が立ち入り禁止になるので注意したい。6月以降は外道のアカハラがうるさくなるのでエサは多めに持参を。

 

❷中央埠頭左基部

埠頭周辺の海底が護岸整備工事などで平坦になったぶん、クロガシラの魚影が薄くなってしまった印象があるものの、条件次第では好釣果が期待できる。ここも砂地主体に飛び根が点在。場所によって根掛かりが激しいので予備の仕掛けは必ず用意しよう。注目は埠頭基部周辺で経験上、南風や西風で好釣果が上がる。埠頭左側の岸壁は車を横付けでき、雨天時などは車内で当たりを見守れるのでありがたい。基本はちょい投げで、当たりがない時は30mほど投げるといい。

 

❸第2副港

40cm超えが釣れる大物場として全道に知れ渡った同港随一の有名ポイント。型はもちろん数も釣れることがあり、条件次第で30cm超えが2ケタの爆釣もある。市場前の突堤先端部は1〜3時方向に5~10m投げると数が出やすい。基部も釣れるが、先端部ほど数は出ない。最も期待できるのは水産加工場から食堂にかけて。約20m先までの間で、当たりのあった距離を重点的に攻めるといい。食堂そばの岸壁右角は船道へ投げると数がそろう。海藻の根掛かりが激しい場所があるので注意し、船の往来時は邪魔にならないよう仕掛けを上げたい。

 

❹北洋埠頭

海底は砂地が多く根掛かりの心配が少ない。中央埠頭に面した岸壁は大型が狙える場所として第2副港同様、訪れるファンが多い人気ポイント。投げる距離は10~30mあれば十分だ。白灯台のある北洋埠頭北防波堤は数釣りの期待が大きいが、入釣は徒歩のみ。同防波堤から両サイドへ10~20m投げる。ヒトデが多いのが難点だ。末広埠頭に面した岸壁は高さ1.5mほどの胸壁があり、サオ立て代わりに利用できる。20mほど投げるとタイミング次第で30cm級がコンスタントに釣れる。

 

❺天北1号埠頭左基部

穴場だったが近年、好釣果続出で地元釣り師を中心に注目されている。海底は砂地に根が点在。根掛りがやや気になる。6月に入るとカワガレイやアカハラがうるさいが、クロガシラの他、スナガレイやマガレイなども上がる。クロガシラは平均30cm前後だが、40cm超えも来るので油断はできない。10~20mのちょい投げで釣れるので、3m未満の短いサオを使用する人が多い。大物の取り込みに備えタモは必携。

 

❻水産試験場前

稚内水産試験場前は、数は望めない一方で、30cm級主体に40cm超えも出る。海底は砂地に飛び根で、根掛かりが多少気になる程度。中間部から左の岸壁は特に期待が高いが、カワガレイが多いのが難点だ。数は望み薄だが、大物狙いなら一度はサオを出してみたいポイントといえる。中間部から右側もヒットの可能性があるが、こちらはアカハラの魚影が濃いのが厄介。どちらも投げる距離は10~15mで十分。

 

❼天北船だまり

通称「南船だまり」と呼ばれ釣り人に親しまれる。海がしけたときや、しけた直後にチカやニシン、カレイなどが釣れ、クロガシラも同様の条件で釣果が上がる。岸壁の右半分は船揚げ場なので、釣り場は左側が中心。岸壁際の垂らし釣りや10~20m先へ投げるのが一般的で、特に船揚げ場のすぐ左にある角から右斜めへ投げると数が出る。船だまりの左側の岸壁は作業船が係留されていることが多くサオを出しづらいものの、5~20m先の根周りを狙うとヒットが多い。海底は砂地に飛び根で根掛かりが気になる場所もある。

 

❽潮見防波堤(南防波堤)

古くから地元釣り師にカレイ釣り場として親しまれ知名度が高い。期待できるのは、天北船だまりの船揚げ場の右横から運送会社がある辺りまで。中でも船揚げ場から水産加工場までの約120mの区間が特に狙い目だ。10~15mほど投げれば30~35cm級が釣れ、カワガレイやスナガレイ、イシモチ、マガレイが交じる。海底は砂地に飛び根が点在。根掛かりは極めて少ない。基部側に寄るほど釣果が減少する傾向があるが、条件次第で他のカレイを合わせて2ケタ釣果が可能。混み合っているときは、移動しながらポイントを探りたい。