このコラムの連載タイトルは「釣り点描」だが、プロレスには「吊り天井」という技がある。マットにあお向けになり、手足を使って相手を吊り上げるこの必殺技は、特にルチャ・リブレ系のレスラーが得意とした。が、平成の今ではとんと見かけなくなったノスタルジックで古典的な昭和の必殺技だ。
昭和といえば、「私の私の彼は~左利き~♪」というフレーズで、即座に振り付けまで思い出せるあなたは正真正銘バリバリの昭和世代。「昭和歌謡の女王」と称されるちあきなおみ(美空ひばりとする説もある)が、「いつものよお~に幕~があ~き~♪」と歌いレコード大賞を受賞したのも、つい昨日のことのように思い出されるはずである。
と、まあ何がいいたいのかといえば、つまりは「昭和」という時代がすっかり歴史の1ページになってしまった感があり、昭和世代の筆者としては一抹の寂しさを禁じえない…ではなく、意外や意外、本題は麻丘めぐみのヒット曲「私の彼は左利き」をきっかけに始まるのである。
「私の彼は左利き~♪」と歌った麻丘めぐみも知らない驚愕の事実が先日、ニュースで流れたのをご存知だろうか。内容は要約するとこうだ。『ネコやイヌ、魚など、ほとんどの生き物には左利きや右利きがある。例えば雌のネコはビンなどから食べ物を引き出そうとするとき、右手を使う傾向があるのに、雄のネコは左手を使おうとする。これはイヌにも当てはまる』のだそう。
では魚はどうなのかと思ったら、ちゃんと言及されていた。『敵が接近してきた場合、右利きの目を持つ魚は時計回りに逃げ、左利きの魚は反時計回りに逃げる』。これは、左右の目に差があった方が素早く反応でき、生存確率が高まるからなんだそう。
もしもこれが真実なら、魚も種類によって利き目が右、あるいは左といった新事実が今後、判明する可能性もある。そうすると、対象魚によって戦術や戦略に革命的な変化が訪れるかもしれない。もしかしたらサケのシーズンを迎えるたびに、道内では「私の私のサケは~左利き~♪」などと替え歌が流行る可能性も…あるわけないな。
(平田 克仁)