最近、釣りで集魚灯を利用するケースが増えている。船のイカ釣りなどでは以前から利用される手法だが、近年、特定の光に対してイカが好反応を示すことが分かってきた。集魚灯は岸壁の釣りでも効果が高く、賢い利用でさらなる好漁が期待できる。
(平田 克仁)

 

明る過ぎる明かりは逆効果!?

船のイカ漁では、高出力の集魚灯をいくつも搭載した漁船が沖合いで明かりをともしてイカを集め、漁獲する。夏から秋にかけての夜間、沖合いにたくさんのイカ釣り漁船の明かりが瞬く「いさり火」は、いつ見ても幻想的だ。しかし近年、集魚灯は単に明るければいいという訳ではなく、明る過ぎると逆にイカを集める上ではデメリットになることが明らかになかってきた。

独立行政法人水産総合研究センターなどの調査よれば、イカ釣り漁船で1時間ごとに集魚灯の全灯と減灯を繰り返したとき、減灯した際に船の周囲でイカの分布密度の上昇が確認されている。積丹方面でも、船の集魚灯を減光して急激かつ大幅に漁獲を伸ばす手法が30〜40年前から利用されている。通称ドンパチと呼ばれるこの手法は、以前から漁師などの間ではよく知られる手法だったが、同研究所の科学的な調査により、その有効性が立証された格好だ。

 

賢い減光で効率アップ

集魚灯で漁船の周りに集まったイカは、暗い場所を求めて船底下に入ろうとする傾向がある。その際、集魚灯の明かりが途切れる船首や船尾方向が進入経路になるという。

集魚灯を使った岸壁のイカ釣りでは、「ライトが当たっている部分の外側にイカがいる」との声をよく耳にするが、以前から釣り人が指摘するこの経験則は、科学的にも正しかったと言えそうだ。

岸壁のイカ釣りでは、漁船で使われるような高出力のライトの使用は、道漁業調整規則違反になる可能性もあり事実上使用できないが、集魚灯を使ってある程度イカを集めてしまえば、以降は過剰な明かりは必要なし。逆に明るくないライトの方が群れの密集度が高まり、効率良く釣りができそうである。

大勢の釣り人が横一列に並んで集魚灯をつけている場合などは、自身の明かりを減光することで、「自分だけ入れ食い」なんてことがあるかも!?

 

波長で変わるイカの視感度

集魚灯は明るさ以外にも、波長の違いでイカの集まり方が変わることが証明されている。現代のイカ釣り漁船では、ハロゲン灯やHIDランプの1種であるメタルハライド灯から、主流が青緑LED灯に変わりつつある。

この変化は省エネ性能もあるが、イカに対する視感度の高さが主な理由だ。視感度とは、光の波長に対する明るさの感じ方を比で表したものだが、ヒトは視感度のピークが550nm(ナノメートル)付近の波長なのに対し、イカのピークは480nm付近とずれがある。

海中で最も光が透過しやすいのは450〜500nmであり、この波長の光はイカの遊泳する深さまで届きやすい。波長は光源の種類によって異なるが、ハロゲン灯やメタルハライド灯は、イカにはほとんど見えていないことが判明しており、集魚灯としてエネルギー効率が悪い。

イカが最も明るさを感じるのは、ピークが480nm前後の光源であり、青緑色LED灯がその1つに該当する。岸壁のイカ釣りで集魚灯を利用する場合は今後、青緑LED灯が主流になる日が来るかもしれない。

これで夜釣りもばっちり! 波長で選ぶ集魚アイテム

「1/f ゆらぎ」で摂餌行動を刺激!
Hapyson
乾電池式LED水中集魚灯 YF-500

生物の快適性にかかわると言われる「1/f ゆらぎ」モードを搭載したLED水中集魚灯。魚が最も反応する500nmのLEDと「1/f ゆらぎ」で、魚類などの摂餌行動を刺激する。ヒトが視認しやすい白色LEDも搭載。●電池寿命(20℃)全点灯/連続約10時間●質量/約1.6kg●付属品/30mロープ●価格/オープン

 

グリーンLEDの点滅がツツイカを誘惑
Hapyson
集魚ライトミニ(点滅タイプ) YF-8922

世界最小高輝度LED点滅ライト。グリーンのLEDがツツイカ類に高アピール。ワンタッチホルダー付き。レッドLEDタイプ(YF-8921)もある。●電池寿命/連続約15時間(リチウム電池BR311を1個使用)●耐水圧約300m●質量/約1g●付属品/チューブカバー、ワンタッチホルダー●希望小売価格/1220円(税込み)

 

YF-8922
YF-8921

連続点灯約15時間の長寿命
Hapyson
集魚ライトミニ YF-8911

非点滅型グリーンLED集魚ライト。YF-8922同様、軽量かつコンパクトが特長。岸壁や磯場など陸釣りから船釣りまで、幅広いフィールドもこれ1つでOK。●電池寿命/連続約15時間(リチウム電池BR311を1個使用)●耐水圧約300m●質量/約1g●付属品/チューブカバー●希望小売価格/1220円(税込み)

YF-8911

 

釣り人御用達のアイテムが大幅刷新
LUMICA
ルミコ

30年間釣り人に愛用される化学発光体、ルミコが大幅刷新。特長や主な対象魚を明示し、不要な資材を簡略化してごみ削減に努めた。生物発光レベルの輝度で対象魚の警戒心も軽減。1袋3本入り●発光時間/10時間(イエローのみ3時間)●付属品/蛍光・黒色チューブ、ワンタッチホルダー●希望小売価格/330円(税込み)

 

 

ジャンボ版ルミコで集魚効果アップ!
LUMICA
いか6インチ

長さ18cmのスティックタイプのイカ専用集魚灯。1回の夜釣りに十分対応できる10〜12時間の長時間発光が特長。多目的フックの採用で岸壁からロープで水中に垂らしたり、仕掛けにフックアップできる。●サイズ/φ15×180mm●重量/28.3g●カラー/グリーン●希望小売価格/220円(税込み)