子供たちが待ちに待った夏休み。親子で楽しく、アクティブに、かつ有意義に過ごすなら、釣りに行くのは悪くない手だ。
(北條 正史)
“釣れない常識”を覆す手軽な釣り方とは
北海道の夏の釣りは、春や秋に比べて釣果が落ちる「夏枯れ」のイメージが強い。しかし、そのイメージの中心にあるのは投げ釣りで、サビキ釣りやロックフィッシングといった手軽な釣りは例外だ。夏の投げ釣りも、決して釣果が上がらないわけではない。そんな夏休みは積極的にファミリーで釣りに出かけたいもの。そこで親子で楽しめる「サビキ釣り」「投げ釣り」「ライトロックフィッシュング」を手取り足取り解説。思い出に残る釣りで、短い夏休みを有意義に過ごそう。
①特別なテクニックは不要! 誰でもできるサビキ釣り
対象魚/チカ、マイワシ、サバ
サビキ釣りとは、小さなハリが5~10本ほど連なった仕掛けを堤防や岸壁から垂らし、チカやイワシなどの小魚を狙う釣り方だ。港では投げ釣りと同じくらいポピュラーで、対象魚が幅広く、1年を通して何かしらの魚を狙うことができる。特に通年狙えるチカは代表的なターゲットで、初夏から秋にかけてはイワシやサバなどが加わりにぎやかさを増す。
【ロッド】
4m前後のリール付きの磯ザオがベスト。延べザオや軟調のルアーロッドでも代用可。
【リール】
1000~2000番の小型スピニングリール。
【ライン】
1.5~2号程度のナイロンラインや1号前後のPEライン。巻き癖のついたナイロンラインは当たりが取りづらいので可能なら新品に巻き替えよう。
【仕掛け、エサ】
大型を除きチカは2~3号の素バリ仕掛けが適切。スピードエサ付け器でアミエビを付ける。イワシやサバは魚の大きさに合わせてハゲ皮サビキやスキンサビキ、ウイリーサビキ3~7号を使用。エサは付けない。
【スピードエサ付け器】
仕掛けにアミエビのエサをこすり付けるアイテムは下記の2種が代表的。
その他あると便利なアイテム
【トング】
釣れた魚を持つときに手を汚さずにつかめる。
【三脚】
ロッドを据えたり、一時的に立て掛けるのにあると便利。
【ロッドホルダー】
岸壁の車止めに固定するタイプ、バッカン一体型などがある。状況によって地面に直に置いた方がいい場合もある。
【水くみバケツ、バッカン】
魚を入れておく他、バケツは三脚を安定させるオモリ代わりにも使用される。夏場はバケツなどにくんだ海水の温度がすぐに上がるので、魚の鮮度を保つために海水はこまめに入れ替えよう。海水と氷を入れたクーラーボックスに入れておけば「氷締め」できる。
釣り方
素バリにアミエビをこすり付けるチカ釣りは、エサが外れないよう静かに仕掛けを投入し、置きザオで当たりを待つ。
アミエビはマキエとしても使えるが、むやみにまくと外道のウグイも集まるのでほどほどに。イワシやサバはサビキ仕掛けを上下に動かして誘う。
慣れないと仕掛けが絡むことがあるが、どうしても絡むときは仕掛けを半分に切ってハリ数を減らそう
●ファミリーにお薦めの道央圏の釣り場(サビキ釣り)
石狩湾新港、小樽港、苫小牧西港、室蘭港、古平漁港、美国漁港(積丹町)、浜益漁港(石狩市)、雄冬漁港(増毛町)など。
②本格的な釣り好きへの第一歩! 当たりが楽しい投げ釣り
対象魚/ハゼ、シャコ
背開きにして天ぷらにすると美味なハゼと、塩ゆでが絶品のシャコ。どちらも釣り方は簡単で初心者からベテランまで愛好者が多い。カマキリの前脚に似たシャコの1対の捕脚は、貝殻を破壊するほどのパンチ力があり、トゲもあるので素手では触れないようにしたい。尾節(尻尾)のキックにも要注意だ。慣れないうちはプライヤーやトングでつかもう。
ハゼ用投げ釣りタックル
【ロッド】
引きが楽しめる6~8ftのルアーロッドがお薦め。アクションはUL(ウルトラライト)かL(ライト)で
【リール】
1000〜2000番の小型スピニング。
【ライン】
ナイロン1.5号またはPE0.8号。
【仕掛け、エサ】
誘導式テンビン仕掛けでハリは8号程度。エサは生イソメ。
釣り方
仕掛けを投げ、しばらく当たりがなければ、海底をゆっくりずる引きして手前まで探る。根掛かりのある場所はずる引き禁止。仕掛けは投げっ放しで。
シャコ用投げ釣りタックル
【ロッド】
オモリ負荷20~25号程度の軟らかめの投げザオ。
【リール】
1000〜2000番の小型スピニング。
【ライン】
ハゼと同じでいいが、振り切れ防止で2-8号程度の力糸を付けた方がいい。
【仕掛け、エサ】
ヤマメバリなどの2、3本バリが主流。専用仕掛けを釣具店などで購入しよう。集魚用の生イソメや5~10mm幅の紅イカを1番上のハリに付ける。
釣り方
仕掛けを投げて糸のたるみを取り、10分ほど放置して反応がなければ、5m間隔で海底をゆっくりずる引きする。基本的には当たりがあるまでこれを繰り返す。
ただシャコは明確な当たりのないケースが多いので、時折サオをゆっくりと立ててシャコが付いていないか確認しよう。もしも付いていたらハリを飲み込むまで少し待つと、より確実に取り込める。合わせは不要だ。
獲物が外れないように注意しながらゆっくりリールを巻く。最後は網目の小さめなタモ網ですくう。
●ファミリーにお薦めの道央圏の釣り場(投げ釣り)
ハゼ、シャコ共に石狩湾新港や小樽港、留萌港に生息しているが、小樽港はシャコの採捕が禁止されているので注意を。
保存の注意点
シャコはカニなどと同じく、生のまま放置すると身が溶けだすので、スカリに入れるか、海水を入れたバッカンにエアポンプを設置して生かしておく。自宅に着いたら即、塩ゆでにしよう。
③初心者も気軽にチャレンジ! ライトロックで夏枯れ知らず
対象魚/クロゾイ、ガヤ
主に岩礁地帯に生息するソイやガヤは、港や磯場なら釣れない場所が無いほど道内に広く生息する。ガヤは最大30cmを、船釣りなら、クロゾイはたびたび50cmを超えるが、大物になればなるほど場所や時季、時間、釣り方など多くの条件に恵まれなければ釣るのは難しい。
ただサイズにこだわらなければ通年釣れるので、狙いやすいターゲットといえる。どちらも夜行性で基本は夜釣り。小型は日中も釣れるが、朝まづめや夕まづめが最大のチャンスであることに変わりはない。基本的に小さく軽いリグやワームを使用するので当たりは明確だ。
ライトロックタックル
【ロッド】
6~8フィートで、硬さはULやLクラスがいい。Hクラスでも釣れないことはないが、軽いリグは投げづらくマッチしない。
【リール】
2000番前後の小型スピニング。ゆっくりリールを巻くアクションが多いので、ローギアタイプがいい。
【ライン】
0.8~1号ほどのPEラインに、3号程度のナイロンまたはフロロカーボンのショックリーダーを約1m結ぶ。結節方法は簡単な電車結びで。メインラインはナイロンやフロロカーボン2.5~3号でもいいが、PEに比べると感度で劣る。
【仕掛け】
0.5~5gのジグヘッドリグ。スイミングで表~中層を探る場合は軽めを選び、ボトム(海底)付近を狙う場合は逆に重めのリグを使う。
【ワーム】
小魚を模した2~3インチのシャッド系か、カニやエビなどの甲殻類を模したグラブ系が中心。
釣り方
【解説】最も簡単で根掛りの心配がほとんどなくベーシックなアクション。ワームを投げて着水したら、ゆっくりリールを巻いてリトリーブすると、シャッド系ワームは小魚のように泳ぐ。水深のある場所では、中層から底付近を狙うとよく釣れる傾向がある。水深の浅い場所は、着水してすぐに表層をスローでリトリーブしながら、緩い下降線を描くように徐々に沈めるとヒットしやすい。
【解説】グラブ系ワームを使うときは、ロッドを縦方向にしゃくり(リフト)、すぐにロッドを下げ(フォール)、エビなどが逃げ惑う動きを演出する。魚はフォール時に食ってくることが多いので手元に意識を集中しよう。
【解説】サオをチョンチョンと動かしてワームを海底で小刻みに躍らせる動き。リフト&フォールはロッドを大きく跳ね上げるのに対し、ボトムバンピングはサオ先を上下に小刻みに動かし躍らせるイメージ。
最後に
ワームを足元へ落とし込み、リフト&フォールやボトムパンピングで岸壁の際を中心に探ることを「際撃ち」と呼ぶ。少しだけ投げてラインが出ない状態にしておき、岸壁沿いをテクテク歩いてワームを擬似的にトローリングする「テクトロ」釣法も効果的だ。
どの釣り方で臨むにせよ、ワームがどのように動いているかイメージしながらアクションさせるのが上達への近道といえる。小さなソイやガヤが釣れたときは必要以上にキープせず、キャッチ&リリース中心に釣りを楽しもう。釣りでは万が一を考え、親子でライフジャケットを着用したい。