周囲をしげしげと見つめてみると、改めて「無駄だなあ」というものがたくさんあることにげんなりする。

例えば交通安全を促す標語の看板、ノボリの類いがそれだ。よくある「運転中に携帯電話を操作しちゃ駄目」的なものには、いつも矛盾を感じる。運転に集中しろといっておきながら、看板に注意をひきつけるのはおかしくないか? これではまるでアニメのお姫様に扮しドレスで着飾ったコスプレ好きの中年が、「オウ、こっち見てんじゃねぇゾ!」と言ってるのと何ら変わらない気がするのだが。

地方の警察や地方自治体が設置するケースが多い標語関係の野立て看板には、そんな感じで実効性が疑われるものが多く、そんなものに税金を投入するのは無駄遣いなんじゃないかという気が大いにする。

実例を挙げよう。最近、とある国道脇に交通安全を促すノボリが大量に立てられたのだが、その1つにはこう書きつけてあった。「居眠り厳禁!」。いや、そんなこと言われても、眠いものは眠いのだ。そもそも眠気に襲われているドライバーがノボリの文字などきちんと読めるハズもなく、眠たくもないドライバーに対してはまったく無意味である。しかし実際、こんな感じのものが多いのが現状なのだ。

ネットで調べると、実効性を疑う標語の類いは他にも全国に色々あった。

<あせりは禁物、あさりは海産物>
ダジャレかっ!

<いつもより スピード出てるよ お父さん>
お母さんやその他大勢は置き去りです。

<お土産は 無事故でいいの お父さん>
なんだか昭和歌謡の雰囲気が漂っていて、森昌子か小柳ルミ子に詠んで欲しくなります。

<この先 忍者が飛び出す要注意>
生き残っているとすれば国宝級なので早くつかまえよう。

<タヌキさん 車がくるよ!>
もう人間を相手にしていません。

<はやい男はいや〜ん!!>(※制限速度40㌔の道で)
子供には見せられません。

<ママ安全 大きなボインの エアバッグ>
じゃあ貧乳ママは危険なのかと問うてみたくなります。

とまあ、こんな感じである。交通安全を促す野立て看板の類いは、景観を壊しこそすれ、意義のある物などほとんど存在しないのが現実だ。こんなものより、北海道の山河の美しい風景を眺めさせて欲しいと切に願う。
(平田 克仁)