「記事に書くのはいいがゴミのことも書いてくれよ」「記事で紹介されたおかげでゴミが増えた」。中には「記事のせいでよそ者がいっぱい来たから俺らの釣り場がなくなった。お詫びに釣り場のゴミ拾ってけや」。取材では釣り人たちのこういったお願い、おしかり、はたまたお門違いな暴言とも取れるリアクションを受けることがある。「おっしゃる通り、ポンッ!」とひざを叩きたくなる半面、「それは少し違うのでは…」ということもある。まぁ何はともあれ釣り場とゴミだ。切っても切れないこの両者の関係を断ち切るのに、実効性のある現実的な対処はないものかと事あるごとに考えさせられる。それが近ごろ、解決のヒントが昨今のエコブームにありそうだと密かに思っている。

例えばエコバッグ。何のことはない買い物用のバッグのことだが、これを持参してレジ袋を使わないようにすれば二酸化炭素排出量を削減できるという。最近はレジ袋も有料でバッグ持参が着実に増えている。「地球まじヤバくない?」という人類共通の危機感のもと、それだけで温暖化防止に貢献でき、少しいいことをした気になれる。実際ちょっと得もする。ゴミ放置で釣り場が立ち入り禁止になる危機感はすでに多くの人にある。ゴミ拾いをすればいいことをした気にはなるから、エコバッグをお手本とするなら、あとは「ちょっとした得」が足りないだけだ。

得がないからゴミ拾いが根付かないとすれば、いっそゴミ拾いを競技化し楽しんではどうか。優勝者(ゴミを一番多く拾った人)には相応の賞品を進呈し、上位入賞者にも賞品が出る。ブービー賞、参加賞も設ける。これなら「ちょっと出てみようかな」という気にならないか。釣り場でゴミを拾えばポイントがもらえ、ポイントに応じて例えば釣り具の割引が受けられる、なんて制度があればゴミ拾いも日常化しそうだ。 もしも釣り具店で「ゴミ拾い専用タックル」が売り出されたなら、ほっかむりをして背負いカゴと火バサミを持った釣り人たちがわっさわっさと釣り場に繰り出したおかげでサオを出す場所がない!?なんてことにはならないよナ。