最小限のアイテムで誰でも気軽にチャレンジでき、若者のみならず中高年にも愛好者が多いワームを使ったロックフィッシングゲーム。現在市販されているワームは膨大で、どれを使えばいいのか迷ってしまうほどラインアップが豊富だ。

星の数ほどあるワームの中には「海水が濁っているときはコレ」「夜はこのカラーが効果的」といった、有効な使用方法がまことしやかに語られる製品もがある一方、手持ちのワームが限られた状況では、必ずしもその製品が最大限効果を発揮するシチュエーションに出合えるとは限らない。

今回はそういった状況を想定し、そのワームが謳い文句通りの有効性があるのか、そして、あえてそのワームを使用するには適さないシチュエーションでも魚は釣れるのかどうか検証してみた。(※検証結果はあくまで編集部スタッフの感想です)

Q1.

『エコギアのグラスミノーのカラーバリエーションの1つ、“チカチカ室蘭”は本当に室蘭港で有効か?』

エコギアが手がけるグラスミノーは、道内でワームフィッシングをたしなむ者なら誰でも知っている定番中の定番ワームだ。フォルムを見て分かる通り、タイプとしてはシャッドテールワームに属する。

テールをブルブルと激しく左右に振りながら、ボディが程よくローリングする動きがベイトライクでアピール性が高い。中でもネーミングが独特なカラーバリエーションの1つ、「チカチカ室蘭」はベリーはグローで夜釣りで特に効果的。バックはラメが散りばめられたキラキラ仕様になっている。

このチカチカ室蘭は、ネームングの由来にもなった室蘭港で本当に有効なのか検証してみた。

エコギアのワーム「チカチカ室蘭」

検証方法

チカチカ室蘭と色違いの同社のミッドナイトグロウの釣果を比べてみた。日中に30分間、夜に30分間それぞれ実釣。

サイズは両者ともにMサイズを使用。室蘭港の南防波堤先端部から15〜20mの範囲でボトム中心に探り、ロックフィッシュの釣れ方を比較してみた。

ミッドナイトグロウ

結果

チカチカ室蘭は日中に、15〜21cmのガヤが2匹、夜は21〜23cmのガヤ5匹、23cmのシマゾイが1匹釣れた。一方、ミッドナイトグロウは日中に15cmのガヤ1匹、夜は15〜18cmのガヤ3匹という結果になった。

単純に釣果を比べると、ミッドナイトグロウに2倍の差を付けたチカチカ室蘭の「圧勝」。ヒットには至らなかったが日中、細かい当たりもチカチカ室蘭の方が圧倒的に多かった。両者の大きな違いはバックにラメがあるかないかで、根魚に対してラメのキラキラ感がかなりアピールになっているようだ。ただしチカチカ室蘭はアピール力が強いゆえに魚がすれやすい側面も。状況によってはミッドナイトグロウの方がいい場合もありそうだ。

今回の検証に限っては、特に夜の室蘭港では、チカチカ室蘭は必ず用意すべき必携アイテムと言えそうだ。

チカチカ室蘭にヒットしたシマゾイ

Q2.

『夜釣りで絶大な効果を発揮するグローのパルス系ワームは日中も効くのか?』

「パルス」とは短時間に発生する急激な振動のこと。パルス系ワームは根魚を中心に実績が高い。たくさんのリブが付いた特殊形状のボディが水中で波動を生み出し、ターゲットに対して高いアピール力を誇る。

グローカラーは特にナイトロックに絶大な効果があるとされる。このグロー系パルスワームは、その強力な波動とグローの視認性による相乗効果で夜間だけでなく、日中にも有効なのか検証してみた。

検証方法

グローカラーのパルスワーム3.8インチを使用。午前9〜10時の日中の1時間と午後7〜8時の夜間の1時間使用し、その有効性の違いを確かめた。

結果

結果としては、昼の部は表層に浮いていた小型のガヤがすれ掛かりで釣れたのみで当たり自体も1、2回と乏しく、実質的な釣果はゼロに終わった。

夜の部は、25〜27cmのガヤ4匹、33cmのシマゾイ1匹。夜の部は魚がうわさに違わぬ好反応見せ、良型のガヤに加え、強烈な引きでシマゾイもヒットした。ハリに乗らなかった小型の当たりも5、6回あった。

以上のように今回、昼と夜の釣果には明らかな差があり、パルス系ワームは日中に有効とは言い難い結果に。ただしカーリーテールの派手なアピールはすれていない魚には絶大な効果があり、今回検証場所となった室蘭港のように、アングラーの出入りが激しい人気港でなければ、また違った結果になったかもしれないということを付け加えておく。

夜釣りでパルス系ワームに食い付いた良型のシマゾイ

Q3.
『海が濁っているときに有効なチャートリュースカラーのワームは海水がクリアな状況でも釣れるのか?』

チャートリュースカラーとは黄緑の蛍光色のこと。鮮やか過ぎる色彩のこの派手なカラーは、海が濁るマディなコンディションやナイトフィッシングで絶大な効果を発揮すると言われている。

では、そのアピール力の強いカラーは日中でも魚に対して効果を発揮するのか検証してみた。

検証方法

海がクリアな時に使用してその有効性を確かめた。検証は海中の様子がよく見えた日中に行い、実釣時間は30分間とした。使用したのは3インチ前後のチャートリュースカラーのピンテールワーム。岸壁から2〜3m以内の足元を丹念に探ってみた。

結果

中層でぼんやり魚影が見えていたため、そこを狙い撃ちすると魚がワームに反応。表層までゆっくりとリールを巻くと、ガヤが追走してきた。

このガヤはその後しっかりとヒット。ボトム付近では2回の魚信があり、ガヤを1匹キャッチすることができた。

残念ながら今回は好天続きでマディな状況下での検証が行えず、クリアウオーターのみの検証となった。それでもチャートリュースカラーのワームを追走するガヤの姿が見られるなど、海水がクリアな状況でも魚の反応は決して悪いものではなかった。

Q4.『基本的にボトムサーチで使うべき甲殻類系ワームは、中層や表層で使っても釣れるのか?』

エビやカニなどの甲殻類が潜むのは基本的にボトム付近である。

そのため甲殻類系ワームを使う場合はリフト&フォールやズル引きなどでボトムを念入りに探るのがセオリーだ。

この甲殻類系ワームをあえて中層や表層で使用しても釣果は得られるのか検証してみた。

検証方法

底層、中層、表層を3インチの甲殻類系ワームで探り釣果を比較してみた。

南防波堤基部の岸壁は駐車スペースから近く、ファミリー向けのポイントである。

ソイやアブラコの釣果は中間〜先端部に比べるとやや劣るが、ガヤの魚影は非常に濃く、しけ後や風が吹いている時などに群れがたまりやすいたまりやすい。

結果

表層は釣果なし。表層に浮いていたガヤはワームを見付けた途端に逃走してしまい、派手な誘いには全く乗ってこなかった。

中層ではごく小さな上下の誘いに2回当たりがあり、そのうち1回をものにして21cmのガヤをキャッチ。

底層は小突くような誘いに魚が好反応を示し、15〜20cmのガヤ4匹釣れるなど安定した釣果が得られた。

結果的に表層や中層にいる魚は、底層にいる時よりも警戒心が強く、本来ボトムにいる甲殻類が表〜中層にいることに対して違和感を感じているような印象を受けた。

結論としては、甲殻類系ワームはやはり表層を探るにはあまり向いていない感じ。ただし中層ではアクション次第でヒットする可能性がある。いずれにせよ、甲殻類系ワームはやはりボトム付近で使用するのがセオリーとは言えそうだ。