北海道の冬の釣りといえば、凍結した湖沼や河川に穴を開けて釣り糸を垂れるワカサギ釣りが筆頭だ。網走湖や阿寒湖、朱鞠内湖など人気と釣果を兼ね備えた釣り場はいくつもあり、さながら冬の道内は「氷上釣り王国」と言っていい。そんな数多ある氷上釣り場ではワカサギを筆頭にチカやコマイなどターゲットは数種類にわたり、どれも異なる独特の釣趣が味わえる。今回はそんなアイスフィッシングで釣れるターゲットの攻略法を手ほどき。気軽にチャレンジしてもらいたい。
(本紙・金澤 賢治)

 

ターゲットその1【ワカサギ】

キュウリウオ科の魚で、言わずと知れた氷上釣りの主役。結氷した湖沼や河川の穴釣りで釣れるが、夏場は海でベイトを捕食している。道内各地に多くの有料管理釣り場、無料の非管理釣り場がある。サイズは小さいもので4〜5cm程度、大きいもので15cmを超える。

ワカサギ仕掛け0.5~3号4~8本バリなどにサシのエサを付けるのが一般的。極めて繊細な釣趣が楽しめ、3ケタの数釣りもざら。時に10束(1000匹)に達するほどの爆釣もある。天ぷらやフライがお勧め。

言わずと知れた氷上釣りの主役、ワカサギ

 

ターゲットその2【トラウト】

トラウトは主に湖で釣れる。サクラマス(ヤマベ)、ニジマス、アメマスがメインで、サイズは20~45cm程度。イトウが釣れる釣り場もある。食味の面ではサクラマスが一番人気だが、ニジマスの強烈な引きを好む人も多い。

釣り方は、現地で釣ったワカサギを背掛けにして、生きたまま氷穴に投入し当たりを待つのが一般的。

(※注意…ワカサギ釣りと同じテント内でトラウトを狙うとワカサギの群れが散って釣果が落ちやすい。トラウトを専門に狙うなら、テントから少し離れた場所でサオを複数出そう。トラウトはよく走るので、仕掛け同士のオマツリを避けるため隣り合う氷穴は最低でも1m以上空けること。

アイスフィッシングで釣れたニジマス(上)とサクラマス
トラウトの狙いのサオが並ぶ。間隔はそれぞれ1m以上空けよう
生き餌のワカサギを背掛けにする

 

ターゲットその3【チカ】

ワカサギと同じキュウリウオ科に属する。道北日本海、オホーツク海、根室海峡、道東太平洋の氷結した河川や海などの汽水域がポイント。サイズは10~20cm台前半。

岸壁のサビキ釣りと同じく、白皮サビキやスキンサビキの4~6号程度がよく用いられる。天ぷらはもちろん大きい魚は飯ずしにする人も多い。

 

ターゲットその4【キュウリ】

鋭い歯を持ち、吻(ふん)が突き出た厳つい面構えが特徴。同じキュウリウオ科のチカやワカサギよりも一回り大きく、20cm級が中心。大きいものは30cmを超える。

釣り場はチカと重複することが多い。スキンサビキや白皮サビキ6~10号が適切で、エサ無しで釣る場合もあるが、小さく切ったイソメを付けて狙う方法がポピュラーだ。

その名の通り料理の下処理前は野菜のキュウリの匂いがするが、身は癖のない淡白な味わい。干物やフライが美味。

一見してチカやワカサギと異なる鋭く細かい歯が特徴のキュウリ

 

ターゲットその5【コマイ】

金色の魚体を持つタラ科の魚。晩秋の投げ釣りのイメージが強いが、漢字で「氷下魚」と書くように、凍てついた氷の下でも釣れる代表的な寒冷魚。

釣り場は道北、道東を中心に結氷した海や一部河川の汽水域。サイズは15~20cmほどだが、30cm級の大型もまれに顔を出す。

サビキ仕掛けや胴突き12~14号2、3本バリ仕掛けで釣る。後者はエサにイソメを付けるのが一般的だ。投げ釣りと同じく小気味良い引きが魅力。淡白な味わいで一夜干しや乾物、鍋料理が美味。

漢字で「氷下魚」と書くコマイは代表的な寒冷魚

 

できれば釣りたくない! 本命以外のターゲット

その1【ウグイ】

コイ科の魚で汽水域、海水域、どこにでも姿を見せる氷上釣り最大の厄介者。サイズは10~40cmとまちまちで、大型が掛かるとハリスが切れたり、仕掛けが絡んだりする。

あまりお目に掛かりたくない外道の代表、ウグイ(アカハラ)

 

その2【カワガレイ】

カレイ科の魚で標準和名はヌマガレイ。ゴソガレイなどの別名もある。他の多くのカレイ類と違い、頭部がヒラメ同様に左にあるのが特徴。

主に海に生息するが、その名の通り海が近い河川や沼にいることから分かるように塩分濃度の変化の広い範囲に生息する。サイズは15cmほどの小型から20cm台が中心。まれに35cmを超えるが、そういった大型は幅広なフォルムで氷穴を通らないことがしばしばある。

別海町と根室市にまたがる風蓮湖や別海町野付湾など道東の一部地域の氷上釣りでは、見た目はそっくりだが別種のトウガレイが釣れることもある。

塩分濃度の濃淡に左右されず生息域が広いカワガレイ(ヌマガレイ)

 

終わりに

氷上釣りでは、これら外道と称される魚が雪原に捨てられている光景をたびたび目撃する。しかし、外道だからといって氷上に放置したりするのは絶対にやめたい。きちんと生きたままリリースしてあげよう。