雪に閉ざされる冬の北海道でソルトルアーシーンを盛り上げる海アメマスの釣りは戦略性が高く、釣りがいのあるターゲットだ。地域によってシーズンにずれはあるものの、長ければ夏まで狙える海アメの攻略法を考える。
（武川　拓郎）

海アメマスの基本タックル

ロッドは10フィートから11フィート程度。有望なポイントはサーフに場合が多く、少し長めの方が飛距離を稼げるし、ルアーの操作性も向上する。硬さはMH（ミディアムハード）クラスをお勧めする。
　道央や道南はシーズンが冬なので、海は荒れ、風もあることが多い。従ってルアーは40g以上の重めのジグや、引けば潜って風の影響を受けないシンキングミノーなどがいい。
　ロッドがMHクラスなら、重いルアーも反発力を生かして快適にキャストできる。シンキングミノーも、その長さと硬さを利用したキビキビとしたロッドワークによるアクションが可能だ。
　リールは4000〜5000番を推奨。XG（エクストラギア）やHG（ハイギア）などリールハンドル1回転当たりの糸巻き量が多いタイプは、糸ふけが出た際のラインコントロールが容易になる特徴がある。
　ラインはPE1〜1.5号があれば強度的には必要十分。細ければ細いほど飛距離と感度に優れ、太ければ大物とのやりとりに余裕が持てる。リーダーは16〜20Lbが適切で、ナイロンでもフロロカーボンでも問題ないが、ナイロンの方がノットが組みやすく、特性上、寒冷時はフロロカーボンよりも扱いやすい。

現代では多くの種類が釣具屋の店頭に並ぶPEラインだが、種類としては4本編みと8本編みが主流である（6本編みや12本編みもある）。ラインは釣りをする上で非常に重要なアイテムの１つであり、対象魚や釣り環境を見据え、適したものを選びたい。

4本編みの特性としては、「擦れに強い」という点が挙げられる。この特性は1本1本の原糸が太いことから得られるもので、多少の擦れであればラインブレークの可能性は低く、8本編みに比べて「擦れに強い」といえる。しかし強いと言ってもそこはあくまでPEライン、過信は禁物だ。

4本編みはコストパフォーマンスが高いのも釣り人にはうれしい点で、安価な製品だと1000円前後で入手できる。しかし経験上、安価なPEラインは劣化しやすく、表面がささくれだってボソボソになりやすい。そうなるとラインブレークにつながる可能性が高く、万が一切れてしまうと大事なまづめの時間帯をノットを組む時間に費やすことになりかねない。
　
以上のような理由で、筆者のお薦めは8本編み。コスト面では少し高くなるが、低伸度による高い感度は4本編みをしのぎ、単純に強度も上がる。しなやかさも向上するので摩擦抵抗が少なくなり、キャスト時にガイドの抜けが良く、飛距離が伸びる。

さらにハイエンドモデルのPEラインには各メーカーの最新技術が惜しげもなく投入されており、あらゆる面で性能のアップが図られているので、ここぞという時にはぜひ使ってみたい。

アメマスに対して最もアピール力が強いといってもいいこのルアーは、水面に浮くフローティングタイプと水中に沈むシンキングタイプに大別できる。飛距離はジグやジグミノーなどにはかなわないものの、そのアピール力はピカイチだ。

フローティングタイプは放置すると水面に浮き上がり、リールを巻くと潜行する。前述したようにジグなどに比べると飛距離は出ないが、軽快な動きは波動も強く、強烈なアピール力を発揮する。

シンキングタイプは放置すると水中に沈み、遠投性能が高い。カウントダウンの秒数を変えることで狙う層を簡単に変えられるのが強みだ。

どちらのタイプもアクションはジャークが主流で、手首と肘を使ってロッドを上下左右に素早く「ピシッ、ピシッ」という感じで動かす。

その際、ロッドの反発力を生かす意識を持つことでルアーが左右に細かく動き、魚に対してアピールになる。ジャークとジャークの間に意図的に「食わせの間」を作るとバイトを誘発しやすい。

遠投性に優れるルアー。海アメマスの釣りには30〜40gがちょうどいい。MHクラスのロッドを使用しているなら、さらにヘビーなウエートを用意しておくと悪天候時に高い波の向こう側へルアーを届けられる。

ジグは主にセンターバランス、前方重心、後方重心の３種類があるが、アメマス釣りでは後方重心が好まれる。後方重心タイプは特にアクションをさせなくてもジグがしっかりテールを振ってアピールする。

全般に水深の浅いサーフなどは横引きの展開が多くなるため、ただ巻きでしっかりアピールするこのタイプは非常に有効だ。ただジャークを多用すると水面に浮き上がったり、テーリングが発生するので注意したい。

アメマスに有効なアクションとしては、ロングジャークが挙げられる。１秒間にハンドル１回転のリトリーブでラインスラックが回収できるようなアクションを心がけるといい。

その名の通りミノーとジグのハイブリッド的なルアーで、ただ巻きでミノーのように動き、遠投性能はジグに迫る。

ただリップがないのでミノーに比べると泳ぎは控えめで、レンジキープ能力は低い。また一般的にジグよりもボディがファットで絶対的な飛距離が劣る一方、サイズ感がちょうど良く、マッチザベイトになりやすい。

沈み根をタイトに攻めるときは、ジグミノーのレンジコントロール性能がはまる。

構造上、波が高いと浮き上がる傾向があるが、他のルアーよりもじっくり攻めやすく、スローリトリーブで誘い続けることができる。現代のソルトルアーシーンではメインのルアーとしての存在感は薄いが、ルアーボックスに忍ばせておいて損はない。

サーフの釣りが盛んな12月から2月の道央・道南日本海は、カタクチイワシやイカナゴがベイトとなるため、サイズ的にマッチするルアーのハイシーズンと言える。

真っ先に狙いたいのは変化のある場所。具体的には河口や沢の流れ込み周辺が狙い目だ。特に流れ込みの両サイドは魚がたまっていることがあるので必ず探っておきたいポイントである。

もう１つ見逃せないのは離岸流で、周囲に比べて深く掘れていることが多くベイトがたまりやすい。離岸流を探す目安としては、全体的に白波が立っているのにそこだけ白波が立っていないこと。

あるいはルアーを引いたときにそこだけ引き抵抗が強いこと、などが挙げられる。他には消波ブロックや大岩の際もベイトがたまりやすいので重点的に探ってみよう。

これらのポイントにルアーを通すときは、着水後すぐにリトリーブを開始し、表層を意識した釣りを展開したい。波の影響でルアーが水面から飛び出さないよう、リップをしっかりかませて沈めることを意識しながら操作しよう。

4〜5月がハイシーズン。この時期になると冬型の気圧配置が弱まり、入釣できることが多くなる。

この時季のサーフは一帯が川の雪解け水の影響を受けたり、河口付近には遡上を控えてベイトに対する興味が薄れた魚がいるせいか、相対的にルアーへの反応が悪くなる。しかし磯場はこういった影響を受けにくいのが長所の１つだ。

新鮮な海水が流れ込む磯は潮通しも良く、潮目があれば真っ先に狙ってみたい。特に沖の根に潮が当たって「さらし」になっているポイントは魚が着いていることが多い。

海藻帯にも魚が着いている可能性があるので、根掛かりに注意しながら果敢に攻めたい。

港は外海がしけたときに魚が逃げ込む可能性があるが、釣り場選びのファーストチョイスにはなりにくいのが現実。

しかしひとたび群れが入れば爆釣もあるので侮れない。釣果は魚の回遊次第なので、フレキシブルに動けるランガンスタイルが適している。

ルアーは、サーフや磯場では悪天候など条件次第で使用が限定的にならざるを得ないミノーなどが試せるので、積極的に使ってみたい。