「釣れない魔の2月」が終わり、サケ稚魚降海でハイシーズンを迎えているショアサクラ。待望の季節を迎えたこの釣りでは、タックルやアイテムの違いで大きな差が付くことがある。今回はタックルとその他アイテムの選び方、使い方を徹底解説したい。

タックル&ルアー解説
ハイシーズンに向けたショアサクラの適切なタックルやラインシステム、各種ルアーの特徴や使用する上での注意点などを解説する。
ロッド
使用感や操作性を考えると10〜12フィートが扱いやすい。キャスト可能なルアーウエートは10〜50g程度が汎用性が高く、いろいろなルアーを使用できるのでお薦めだ。
最も重要なのはテーパーで、エクストラファスト、ファスト、レギューファスト、レギュラー、スローなどといった種類がある。
ファストテーパーよりはレギュラーファスト、 レギュラーファストよりはレギュラーが、魚を掛けた時に曲がるロッドの部位がバット(根元)に近くなる。
ティップ(先端)寄りで曲がるものほど細かなアクションを入れやすいが、ばらしが多くなる傾向がある。逆にスローテーパーは細かなアクションが入れにくい半面、魚の動きにロッドが追従するのでばらしが減り、ラインブレイクの可能性が少ない。
吸い込むようにバイトする魚にはスローテーパーが向いているが、反転しながらかみつくようにバイトするサクラマスのような魚は、ルアーの操作性やばらしの軽減、ラインブレイクの可能性などを考慮するとレギュラーファストかレギュラーがちょうどいい。

リール
ロッドとのバランスが大切だ。リールをロッドにセットした状態でタックルを人差し指で保持した時、釣り合いの取れた位置がリールフットに近いほどバランスがいい。
バランスのいいタックルはキャストを繰り返しても疲労感が少なく、トゥイッチなどのロッドワークも行いやすい。製品の材質によって重さや大きさが変わるので一概には言えないが、おおよそ3000〜4000番くらいが適切だ。
最近は「軽ければ軽いほど良い」という風潮があるが、高価で軽量なリールとロッドを組み合わせた時に重心がティップ寄りになると、ロッドティップが持ち重りしてルアーにアクションをつけづらくなるので注意したい。

ライン
PEが一般的。飛距離が出て、感度もいい。お薦めはPE1〜1.2号に20〜30Lbのショックリーダーの組み合わせだ。
PE0.8号や0.6号など細いラインに1.2号や1.5号のスペーサーを入れる遠投重視派もいるが、 こういったセッティングは釣行後にその都度ノットを組み直せるまめな性格の人向き。
基本的に1.2号あれば振り切れや合わせ切れの心配はほぼなく、40〜50gのメタルジグも安心してフルキャストできる。
ショックリーダーは、海水の透過率を考えるとフロロカーボンが適していると言えるが、ナイロンでも問題ない。

ルアー
メタルジグ
最も遠投でき、周囲を広く探れる。基本的にはただ巻きでいい。リトリーブ中にストップを入れてスライドさせて単調な泳ぎにアクセントを加えたり、アクションを入れずにひたすらただ巻きジャーク&フォールでアピールしたり、連続トゥイッチでピョンピョンと跳ね上げながら寄せてきたりと、さまざまなメソッドが使えるルアーだ。
ウエートが重いほど遠投性能が上がるが、ヒット後に首振りされると遠心力が強く働きばれやすくなる。
口の軟らかいサクラマスはがっちり合わせてフッキングする必要はなく、半分向こう合わせでもしっかり掛かる。そのため強烈に合わせる「鬼合わせ」や「追い合わせ」は厳禁。
どうしても癖で強く合わせしてしまう人は、ドラグを緩めに設定しよう。硬めのロッドを使用している人は、釣る前にしっかりドラグ調整したい。
調整は、ルアーを引っ掛けても問題のない場所に掛けた状態でロッドをあおり、実際にドラグがどの程度出るのか、出てほしいのかを確認しながら調整する。

ミノー
飛距離はさほど望めないが「近距離系最強ルアー」といえるのがこれ。
ストップ&ゴーや、リトリーブスピードに変化をつけた可変リトリーブにトゥイッチを加え、ヒラを打たせてフラッシングさせたり、ジャークを入れて逃げる小魚を演出するなど、さまざまなアクションでバイトを誘う。
これから降海が本格化するサケ稚魚のサイズにはマッチしないが、ベイトフィッシュライクなフォルムとアクションでサクラマスを魅了する。
タイプはシンキングが主流で、フローティングを目にすることは少なくなったが、河口直下に土砂が堆積するシャローでシンキングタイプを使うと、リップがボトムをたたいて釣りにならないケースも。そんなときはフローティングの出番だ。飛距離はシンキングにかなわないが、スローリトリーブ時におけるレスポンスの良さはフローティングならではだ。
飛距離に秀でたシンキングは河口から少し離れた、ある程度水深のあるサーフで威力を発揮する。内部ウエートが動く重心移動タイプは遠投性能が高く、キャストして着水直後にトゥイッチを入れ、後方に移動していたウエートを頭部側へ移してからリトリーブするのが基本。着水と同時にリトリーブを開始しても自動的に頭部側へウエートが移動する製品もあるので事前に確認しておこう。
ミノーは通常、トレブルフックを標準装備とした物がほとんどで、フロント、ベリー、テールに3本トレブルフックを装着。これは結局フックが9本も付いているのと同じなので、小さな魚が掛かるとダメージが極めて大きい。できればフックをシングルに替えたり、トレブルフックの本数を減らす方策を検討したい。

ジグミノー
ミノーより飛び、スローに巻くとメタルジグよりキビキビ泳いでレンジをキープしやすい。
ゆっくりかつローリングしながらフォールし、リトリーブしながらトゥイッチを入れるとヒラを打ったり、スライドしたりするなど、リアクションバイトが誘える。
ただ激し過ぎるトゥイッチはルアーが飛びすぎてエビる(=テーリング)ので、あくまでもトゥイッチは軽くがいい。トゥイッチを入れてからそのままフォールさせると、ローリングしながらゆっくりフォールする。これは他のルアーでは演出できないアクションで、サクラマスの反応も良好だ。
スローなジャーク&フォールも効果的だが、激し過ぎるジャーク&フォールは前述したようにエビる可能性が高いので避けたい。ショアサクラでは「ただ巻き」が最も多用されるが、そんなただ巻きで最も釣れるのがこのジグミノーである。
ただ巻くだけでも、ちょっとしたリーリングの力加減やテンションのかけ方、潮の流れで泳ぎに変化がつきやすいからだ。重心固定タイプが大半だが、重心移動式もある。

メタルバイブ
リールを巻くだけで金属製のボディー全体がブルブル震え、波動を出す。メタルジグ、ジグミノー、ミノーの順に波動が小刻みになるが、さらに細かい波動を出すのがこのタイプだ。
魚のチェイスがあったときに同じルアーを使い続けると魚がすれる要因になるので、そんなときはカラーチェンジが有効だが、色ではなくルアーが出す波動を変えたいときに試したいルアーがこれ。
過去に波動の異なるルアーを使っただけで、魚が狂ったように反応したことが多々あったので、私は必ずメタルバイブを持ち歩いている。
このルアーはトゥイッチよりも強めにリーリングしながらショートジャークを入れて時折ストップし、テンションフォールさせた後の巻き始めにガツン!とバイトすることが多い。

スプーン
メタルジグ並みに飛距離が出て、巻くだけで勝手に泳ぐのがこのタイプ。フォルムが小さく浮き上がりやすいのが特徴で、スローに巻いてもアクションするのが最大の利点だ。
遊泳力が弱く、素早く泳げないサケ稚魚などの小魚がベイトの時、周囲に大勢のアングラーがいたにもかかわらず、スプーンをキャストした私にだけ立て続けに釣れた経験があり、常にルーケースに入れてある私の1軍ルアーでもある。

ハイシーズンの釣りの注意点
道南や道央日本海の一部には4月1日からサケマス河口規制が始まるフィールドがいくつかある。河口規制が始まれば、もちろんエリア内で釣りはできない。自己中心的な振る舞いや身勝手な行動はしない、させない。すでにそういう時代に、事態になっている。「あそこは行かないから自分には関係ない」ではなく、末永く釣りを楽しむために全員が守らなくてはならないものがあると思う。