先日、初めて「夏フェス」というものに行ってきた。夏フェスとは、アーティストが集まり、それぞれ演奏を繰り広げるライブのお祭りである。2日間にわたって繰り広げられたこの夏フェス。約70組のアーティストが4つのステージに分かれ、朝から晩まで熱のこもった演奏を展開した。私は妻と2人で2日目を観に行ったのだが、私の寝坊で会場入りしたのは夕方。せっかくたくさんのライブを体験できたのに、もったいないことをしたと今は少し後悔している。

それにしても、会場の熱気はすごかった。ひとたび演奏が始まれば、ステージ前のスタンディングエリアは途端に「おしくらまんじゅう」状態。私たちは大トリのアーティストを間近で見るため、1組前のバンドの演奏開始前から最前列に並んだ。だが、そのおかげで大変な目に遭ってしまった。

1組前に出演したバンドは、いわゆるデスメタル系。デスメタルとは、「ギターもドラムもひたすら早いビートで大音響を鳴らし、ボーカルは、地の底から湧き出るようなおどろおどろしい声で叫ぶヘビィメタルの一種」といえば、イメージできるだろうか。とにもかくにも「激しい」のだ。

観客のノリも半端じゃない。都心のラッシュアワー並みの混雑状態で、全員が拳を突き上げて叫び、ジャンプを繰り返すものだから、腰が痛いのに、こちらもそれに合わせてジャンプするしかない。何だか訳の分からない液体がどこからか飛んできて顔を濡らす。興奮した若者が、まるでベルトコンベアーで運ばれるように、観客の手によって頭の上を次から次へと通り過ぎる。気を付けていないと、頭上を通る若者の足が顔面を直撃しそうだ。

これはもう駄目だと思って脱出を試みたが、時すでに遅し。妻と2人で数十分、半狂乱の群衆に交じってひたすらジャンプするハメになった。しかしその苦労のお陰で、お目当てのアーティストはバッチリ。しかも大物アーティスト2人が飛び入り参加するおまけも付いた。「いいね、夏フェス。来年も行こう」そう思ったが、デスメタル系バンドだけは事前にしっかりチェックしておこうと、今から心に決めている。
(平田 克仁)