行く末を推し量り、予測して、その通りになることを「読みが当たる」と言う。「読み」は魚釣りでも大切だ。いつごろ釣れるのか「読み」、どこで釣れるのか「読み」、どんな風に攻略すればいいのかを「読む」。「読み」は深いほど釣れる確率が高まるが、「深読み」にはある程度の経験が必要になる。「深読み」して裏目に出ることもあるが、それも経験のうち。以後さらに「深読み」できるようになるから、一概に裏目に出ることが悪いとは決めつけられない。
しかしポーランドのある町議会は、どうやら深読みし過ぎたらしい。報道によると先日、議会でこんな決断が下されたそうだ。それは「クマのプーさんを禁止する」というもの。ディズニーキャラクターとして有名なプーさんのイメージを、子どもの遊び場で使用してはならない旨の決断が下されたという。「性別があいまい」、「下半身に何も着用していない半裸の状態で不適切だから、子どもたちの目に触れさせるべきではない」というのがその理由だ。ある町議会メンバーは、「下半身に何も着用していないのは性別がないから。つまり両性具有である」と話したそう。
もし仮にそうであれば、くまモンやふなっしーなど、性別不詳な「ゆるキャラ」たちの大半がおそらくは「子供は見ちゃ駄目!」ということになる。下半身を露出しているように見えるのがいけないのなら、雪だるも駄目だし、たまにTVで見かける「二股に分かれてヒトの下半身に見えなくもないちょっと色っぽい大根」ですらNG扱いだ。これでは日本全国のゆるキャラたちや、邪気のない子供たちが作った雪だるまも、農家の方が精魂込めて育てた大根でさえ、具体的なイメージを伴う紹介はできないことになる。いくらなんでもこれは行き過ぎと言わざるを得ないだろう。
一概に論ずるには少々無理があるのは承知の上だが、過剰と思われる安全や責任問題への深読みで、ありきたりな釣り場へのルートが次々と閉鎖される道内の釣り場事情にも、似たようなところがあるとは言えまいか。クマのプーさんを犯罪者扱いするような愚行が平然とまかり通る、そんな事態が、道内の釣りシーンには存在しないことを願うばかりだ。
(平田 克仁)